研究課題/領域番号 |
23K08533
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
露口 尚弘 近畿大学, 大学病院, 非常勤講師 (50295705)
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研究分担者 |
宮内 正晴 近畿大学, 医学部, 助教 (40709325)
小山 大介 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 准教授 (60569888)
宇田 武弘 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70382116)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | high gamma activity / SEEG / MEG / epilepsy / glioma / brain mapping |
研究実績の概要 |
侵襲が加わった神経機能領域の回復の可能性を解剖学的構造と神経生理学的機能を統合的に解析し手術前に予測することが本研究の目的である。 本年度は、定位的深部電極(SEEG:stereotactic EEG)を施行した4例の前頭葉および側頭葉患者に対し解析をおこなった。目標部位は補足運動野、言語野、海馬とし次に示すデータを収集した。1. MRIのFLAIR、DWI、DTIなどによる解剖学的画像 2. FDG-PETによる糖代謝 3. MEGによる言語、運動、記憶課題の遂行による周波数解析とコヒーレンス解析 4. 覚醒下手術での課題遂行にたいする皮質電極および深部電極から高周波帯域信号(HGA:high gamma activity)の検出 5. 留置電極またはSEEGのベッドサイドモニタリング中における課題遂行でのHGAの検出。 SEEGでのHGAとMEG同時記録の報告は少なく、初年度として学会報告を中心に行なった。HGAの描出が明瞭な聴覚野と一次運動野については手術を行なっていない。前者については両側支配であるため摘出可能かはまだ不明である。補足運動野についてはタスクの刺激直後はHGAが顕著に出現するが、タスクが継続するとHGAの反応が消失する。この部位の摘出では、術後一過性に神経症状の悪化を認めるがやがて回復する。HGAの減衰部位は可塑性があり摘出可能性と仮定できるがさらなる検証が必要である。言語野においてはHGAを明瞭に検出できず、SEEGは硬膜下電極よりも不利であることは確かではあるが、SEEGが適切な位置に挿入されていなかった可能性がある。海馬における記憶タスクではHGAの記録ができず今後の検証が必要である。白質と摘出部位の関係が十分に検討できなかったため今後の追加研究が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
機能野に関連した部位での摘出が必要な症例が少ないため十分なデータ数を確保できなかった。特に初年度は適切な脳腫瘍例がなかった。 HGAの検出装置の不具合とメンテナンスのため初年度後半でのテータが十分に取れていない。 ソフトウェアのアップデートを必要とした。 MEGとSEEGの同時記録では雑音が多くデータ収集が不安定であったため、機能野における評価までは行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集は従来通りの方法で遂行する。 対象症例数の増加と適切な選択を行う。特に機能野に関係する領域の手術が必要な症例数を増やす。 HGA検出装置のメンテナンスとソフトウェアのアップデートをおこなう。 雑音が少ない信頼性の高いデータを収集するためにMEGとSEEGの同時記録の手法を確立する。 機能野同定のためのタスクを工夫する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に必要経費としてののソフトウェアのアップデートが先に持ち越された。そのため解析に必要なハードウェアの購入も持ち越された。 対象症例が不足しそれに伴う経費が持ち越された。 学会出張が当初の予定よりも少なかった。
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