研究課題/領域番号 |
23K08545
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
秦 暢宏 大分大学, 医学部, 准教授 (10596034)
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研究分担者 |
札場 博貴 大分大学, 医学部, 助教 (00772930)
三月田 祐平 九州大学, 医学研究院, 助教 (00848640)
藤岡 寛 九州大学, 大学病院, 助教 (10914252)
籾井 泰朋 大分大学, 医学部, 助教 (20534192)
空閑 太亮 九州大学, 大学病院, 助教 (40759932)
溝口 昌弘 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (50380621)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | liquid biopsy / glioma / molecular diagnosis / WHO2021 / digital PCR / CSF / IDH / MLPA |
研究実績の概要 |
髄液DNAからの遺伝子増幅・欠失の検出:遺伝子増幅や欠失を検出するために、腫瘍検体から抽出したDNAに対して解析する際に行ってきたMLPA法の導入を試みた。MLPA法での解析に耐えうる高感度な手法を確立し、EGFR遺伝子増幅や、CDKN2A/B遺伝子欠失を判定することに成功しており、これらの経験を基に、個々の症例での解析を積み重ねていっている。より広範囲の分子診断に対応可能となり、他の解析法への応用の端緒となる研究である。MLPA法を用いた研究により、"CDKN2A homozygous deletionとhemizygous deletionの意義の違いについて解析した成果が得られ、Hemizygous deletion of CDKN2A/B with p16 immuno-negative and methylthioadenosine phosphorylase retention predicts poor prognosis in IDH-mutant adult glioma"として、Neuro-oncolgy advance誌にacceptされた。現在in-pressの状態である。 また、腫瘍免疫微小環境の解析に関しては、我々が独自に開発したiMG細胞研究により、もやもや病の病態解析を非侵襲的に行う手法に繋がる知見を発見しており、このような研究から得られた成果を基に、liquid biopsy研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画を3段階①-③に分類していたが、そのうちの①MLPA法の導入に関しては計画通りに達成して論文発表まで終えている。②メチル化解析に関しては、MLPA法の新規プローブを活用することにより、腫瘍組織ではMLPAによるメチル化解析を行うことができるようになっているため、順調に経過している。③腫瘍免疫微小環境の解析についても、九州大学精神科との共同研究が論文化されるという成果に繋がっているため、順調である。全ての段階で成果を挙げているため、当初の計画以上の進展である。
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今後の研究の推進方策 |
髄液を用いたメチル化解析は、MLPA法でのメチル化解析の可能性に端緒を見出しており、今後は髄液での解析が可能かどうかを検証していく。免疫微小環境の解析は、研究分担者の札場が米国留学で挙げた成果を基に進展が期待できる。大分大学では新規にsingle cell解析を行う機器が設置されたため、本研究への導入により飛躍的な成果に繋がる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
大分大学での機器購入などの初期投資を見込んで予算を計上していたが、実際には以前からの機器や試薬などがある程度使用可能であったため、予定よりも少ない予算で計画を遂行可能であった。本年度は新たな機器や試薬などの準備が前年度よりも必要となるため、随時使用していく方針である。
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