研究課題/領域番号 |
23K08569
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石田 穣治 岡山大学, 大学病院, 助教 (90771949)
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研究分担者 |
大谷 理浩 岡山大学, 大学病院, 助教 (60902989)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 小児脳腫瘍 / 集束超音波 / 脳幹グリオーマ / 薬剤透過性 / 血液脳関門 |
研究実績の概要 |
びまん性内在性橋神経膠腫 (diffuse intrinsic pontine glioma: DIPG) は、発症2年以内にほとんどが死亡する最も予後不良な小児脳腫瘍であり、未だ有効な化学療法は無い。化学療法への治療抵抗性の原因として、DIPGは造影されない腫瘍であること、即ち血液脳関門が維持されており、通常の抗がん剤の到達が困難な点が挙げられる。DIPGマウスモデルに対する薬剤導入高率を上昇させる前臨床研究をおこなう。 現在までに4種類のDIPG細胞株を用いて薬剤効果実験を行った。同時に遺伝子改変マウスより発生したDIPGモデルから樹立した初代培養細胞株を用いてDIPGモデルの作成を行い、手技を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2024年2月にDIPG細胞株は、カナダトロント小児病院脳神経外科、James T Rutka教授より供与された。2023年春ごろに供与される計画であったが、手続き等に時間を要したため、研究が遅れることとなった。現在は4種類の患者由来DIPG細胞株を用いて薬剤を用いたcell proliferation assayを行いin vitroでの治療効果を確認するとともに、動物モデルの作成を開始しており、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
脳幹腫瘍かつ血液脳関門を維持した特殊な環境を模した治療研究である。 血液脳関門を維持した正確なDIPGマウスモデルを作成し、薬物治療評価に用いる。 集束超音波機器の確保に多くの研究費と時間を要するため、代替策として、すでに供与された患者由来細胞株に血管新生能を追加し、代替実験を計画している。 血液脳関門維持モデルと血液脳関門破綻モデルを作成し、両者を比較することで薬剤到達に関わるメカニズムを解明することで新規治療へつなぎたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
トロント小児病院から供与予定であった細胞株の手続きに時間を要したため、2023度の支出が予定より下回った。今後実験計画をしており、2023年度に使用できなかった研究費を使用して、In vitro治療効果および相乗治療解析とIn vivoモデルの作成を促進する予定である。
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