研究課題/領域番号 |
23K08579
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松岡 正剛 北海道大学, 大学病院, 助教 (70816066)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 成長板軟骨損傷 |
研究実績の概要 |
小児骨端線損傷は小児骨折における30%を占め、そのうち10%が四肢の短縮、変形をきたすため社会的に重要な問題である。成長板軟骨細胞損傷は損傷軟骨の部分的な骨化(骨性架橋)により成長障害を来たし、若年者、ならびにその家族に大きな負担を与えるが、その詳細な機序は明らかにされていない。 本研究の最終目標は、ケモカイン受容体CCR7シグナル伝達を薬物学的調整により抑制することで、小児骨端線損傷に続発する変形治癒を予防できることを証明することである。研究代表者らはこれまでCCR7シグナリングが成長板軟骨細胞損傷直後において、骨髄系共通前駆細胞の損傷部への誘導に中心的役割を担い、CCR7 ノックアウト(KO)マウスでは、損傷部の骨性架橋形成が阻害され、続発する変形治癒が予防されることを明らかにした。そこで、ケモカイン受容体CCR7発現を薬物学的調整により抑制することができれば、小児骨端線損傷後に続発する変形治癒を予防することができるのではないかと着想するに至った。本研究の目的は、ケモカイン受容体CCR7の発現を阻害抗体を用いて抑制することにより、小児骨端線損傷後の修復過程に対して促進的作用を及ぼすことをProof of Concept試験として証明することである。 2023年度は3週齢のマウス脛骨近位成長板軟骨損傷を作製後、CCR7阻害抗体を投与実験を行った。阻害抗体投与を行っても、マウスの成長発達に大きな影響、副作用は認められなかった。本結果より、CCR7阻害抗体の生体内投与の安全性を担保できたと判断した。本検討に基づき、2024年度は阻害抗体投与の成長板損傷に与える影響を調査することとした。また、成長板軟骨細胞を回収し、阻害抗体が与える影響のメカニズムについて、PCR法による骨化関連マーカーの変動、ウエスタンブロット法、RNAシークエンスによる網羅的遺伝子解析を行い、検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度にCCR7阻害抗体の安全性を確認することができた。2024年度は有効性につき検討を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
CCR7阻害抗体の有効性を動物実験、細胞実験により継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度には動物実験費用に予定よりも予算を使用しなかったため、繰越が生じた。2024年度はその分動物実験検討に研究費を使用予定である。
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