研究課題/領域番号 |
23K08590
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山田 和希 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50756088)
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研究分担者 |
中田 英二 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10649304)
宝田 剛志 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30377428)
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40294459)
高尾 知佳 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (40612429)
山田 大祐 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (50733680)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 3D bioprinting / scaffold / iPS cells |
研究実績の概要 |
本研究ではiPS細胞と3Dバイオプリンターを用いてハイブリッドマテリアルを作成し、新規骨・関節再建法の開発を目的としている。ハイブリッドマテリアルは表層の軟骨層と深層のscaffoldからなる二層の構造物である。岡山大学整形外科と組織機能修復学教室との合同研究で、表層の軟骨層はiPS細胞由来ヒト軟骨前駆細胞(Yamada D. Nature Biomedical Engineering, 2021)より作製した球状軟骨組織球やspheroid(細胞の凝集体)を想定している。深層のscaffoldはポリ乳酸やハイドロキシアパタイトの粉末を融解させ3Dバイオプリンターで印刷する。
■表層の軟骨層に関して:我々のiPS細胞由来ヒト軟骨前駆細胞は様々な分化段階があり、軟骨組織に近い状態ほど移植後に軟骨組織へ分化する可能性が高い。そこでまずラットの軟骨細胞やspheroidを用いて移植を行った。欠損部にそのまま細胞を移植するだけでは細胞が脱落してしまうため、scaffoldとしてGelMAというゼラチンベースのマトリックス材料を用いた。GelMAは、特定波長の光を照射することにより硬化する特徴をもち、移植の際は任意のタイミングで硬化させることができる。ラットの大腿骨滑車部に1-3mmの軟骨欠損モデルを作成し、ラット軟骨細胞とGelMAからなる懸濁液を欠損部に移植し、生着および硝子軟骨への成熟を認めた。同様の実験を、iPS細胞由来ヒト軟骨前駆細胞でもおこない、軟骨への成熟度の高い細胞では細胞の生着を認めた。
■深層のScaffold層について:ポリ乳酸粉末を3Dバイオプリンターにより200℃に熱して融解させ、3Dプリントすることで直径4mm大の円柱を作成することができた。これをゲッチンミニブタの大腿骨の膝関節面に移植し、2週の経過でゆるみなくとどまっていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハイブリッドマテリアルを開発する上で、研究当初は軟骨層とscaffold層を分けてそれぞれで研究をおこなっていた。
軟骨層に関して:ハイブリッドマテリアルの軟骨層としてiPS細胞由来ヒト軟骨前駆細胞を用いているが、この細胞には軟骨細胞に成熟するまでにいくつかの分化段階がある。また二次元培養の細胞で移植するか三次元培養の細胞で移植するかという選択肢もあり、免疫不全ラットに対して各分化段階、各培養方法で培養した細胞を移植しているため時間を要している。現時点では、より分化度が高い細胞の方が生着しやすいという結果を得た。また、軟骨層とscaffoldをどう接着させるかという課題に直面する可能性もある。マテリアルゲルと細胞を混合したペーストを窪みの構造をもったscaffoldと組み合わせることで接着の問題は解決する可能性があり、マテリアルゲルと細胞を混合したペーストもラットやミニブタに対して移植している。
scaffold層に関して:ポリ乳酸は生分解性のプラスチックであり、臨床応用もされている。この粉末を融解して3Dバイオプリンター(BIOX:CELLINK社)で印刷を行い、円柱を作成した。この円柱は直径4mm、高さ2mmの大きさまで小さく作成することが可能だったが、移植するためには大型動物の関節が必要であり移植までに時間を要した。印刷したポリ乳酸をミニブタに移植し、2週後にサクリファイスしたところ、scaffoldはゆるみなくその場にとどまっていることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
今後はより小さいscaffoldの印刷を行い、軟骨組織と組み合わせてラットなどの小動物に対して移植する予定である。 軟骨層の開発として、より低分化状態の細胞で生着が確認されれば開発コストを削減できるため、より低分化な状態での生着を成功させるために培養条件を修正して移植を継続する。 scaffold層の開発として、ポリ乳酸だけでなく骨誘導能に優れるハイドロキシアパタイトを組み合わせることでより理想的なscaffoldを作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度に予定していた研究の遅れにより培養実験や動物実験に使用予定であった消耗品の購入を見送る事となり、次年度使用が生じた。令和6年度に当初予定していた経費に上乗せする形で実験用消耗品に充てる予定である。
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