研究実績の概要 |
基礎研究:ラット腱板断裂モデルを用いて、幹細胞上清液(SCS)による疼痛関連因子および組織修復因子の推移について検討を行った。方法:ラット腱板断裂モデルを作成。Control:腱板断裂閉創時にコントロール液(1% FBS)投与、1週で腱板採取, RCT群; 腱板断裂後1週で腱板採取, SCS群; 腱板断裂閉創時に幹細胞上清液投与、1週で腱板採取, 以上3群(各群n=5)にて疼痛関連物質の発現について検討した。結果:COX-2、TNFα、IL-1βも3群間に有意差を認めなかった。TGFβ,NGF,bFGFは3群間に有意差があり,コントロール群,SCS群,RCT群の順に高かったが有意差は認められなかった。VEGFは3群間に有意差があり、SCS群が最も低かったが有意差は認められなかった。はコントロール群が有意にRCT群よりも高かった.IL-6はRCT群がコントロール、SCS群よりも有意に低かった. 臨床研究:bFGFが腱板断裂した肩関節(GHJ)24肩の滑膜内に発現についてPCR法を用いて評価し、疼痛との関連を検討した。疼痛は術前の安静時痛, 動作時痛, 夜間痛についてNumerical rating scale(NRS)を用いて評価した. また、さらに術中に5人の患者から得られた滑膜組織から滑膜細胞を抽出し, α‐MEM(serumfree)にて培養後,FGF(10 ng/ml)を添加し, 24時間後の培養細胞培地によって発現されたmRNAをreal time PCR 法を用いて成長因子の発現量を測定した.GHJの滑膜中のbFGFは, 安静時痛と夜間痛との間に正の相関を認めた.また,GHJ内の滑膜細胞では FGF刺激によりVEGF, IL1-β, IL6, IL8, COX2 の遺伝子発現の産生が上昇した.
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