研究課題/領域番号 |
23K08612
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡 久仁洋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (50724085)
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研究分担者 |
田中 啓之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (00432542)
宮村 聡 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10897599)
塩出 亮哉 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30964449)
村瀬 剛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (50335361)
佐藤 嘉伸 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70243219)
大竹 義人 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80349563)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / 骨密度変化 / 骨軟骨3次元形状 / 人工知能 |
研究実績の概要 |
橈骨遠位端骨折後背屈変形患者、母指CM関節症患者において関節軟骨下骨の骨密度変化をCTのHounsfield Unit(HU)値を用いて定量的に評価した。橈骨遠位端骨折後背屈変形においては舟状骨窩背側、月状骨窩背側の骨密度値が上昇し、舟状骨窩掌側、月状骨窩掌側の骨密度は低下していた。母指CM関節症においては中手骨掌側の骨密度が上昇し、背側の骨密度が低下していた。変形性関節症発症と密接に関係している軟骨下骨の骨密度上昇を単純X線ではとらえられない早期の段階で定量的に評価することができた。これらの知見は変形性関節症の病態解明ならびに新規の画像診断になりうる。また、検証を行ったサンプルを用いて変形性関節症に移行するリスクとなる変形量のカットオフ値を算出した。背屈変形30度、橈屈変形10度以上の骨折後変形が変形性関節症発症のリスクとなることが明らかとなった。これらのカットオフ値は、これまで手術適応の明確な指標がなかった、橈骨遠位端骨折後変形に対する矯正骨切り術の治療介入の重要な指標となりうる。 正常手関節の2次元単純X線画像とCTから作成したから3次元骨モデルのデータセットを学習し単純X線から3次元骨モデルを直接生成することができるプログラムの汎用化を行い、他の部位や骨折、骨変形などの疾患モデルにも対応できるプログラム構築を進めた。 単純X線の輪郭を抽出するプログラムを開発した。MRIで作成した骨軟骨3次元モデルを単純X線の骨輪郭に重ね合わせを行うプログラムの開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
橈骨遠位端変形において変形性関節症発症の機序の一部を解明し、英文雑誌に投稿中である。内反肘変形における合併症発症のリスク評価を行い、英文雑誌に投稿中である。前腕骨変形が関節運動に与える影響を3次元的に解明し、Journal of Orthopaedicsに受理された。2次元動態画像に3次元骨モデルを重ね合わせてリアルタイムの生体内前腕運動を解明し、Scientific Reportに受理された。 軟骨形状を推定するためのMRI3次元骨軟骨モデルを単純X線の輪郭に重ね合わせるプログラムの開発が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
骨密度分布のパターンを解析し、母指CM関節症の発生機序を解明し英文論文投稿を行う。 軟骨下骨における骨密度分布パターンを評価するシステムを構築する。 変形骨や骨折における単純X線とCTデータのデータセット構築後にAI学習を開始し、単純X線画像から3次元骨形状を推定するプログラムの完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析などの業務において研究室内の人員により対処できたため、人件費の支出がなかった。物品費、旅費はおおむね予定通りの支出であった。 今後の使用計画はプログラム開発のための外注費や画像解析のための高性能コンピューター購入、ソフトウェアライセンス費を見込んでいる。
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