研究実績の概要 |
本研究は、後縦靭帯骨化症(OPLL)患者において、ビタミンKの不足や利用障害によるGla-rich Protein(GRP)の活性低下がOPLLの骨化増大に関与しているとの仮説をもとに、頚椎手術を予定している患者の術前採血検体を収集している。OPLL患者とそれ以外の頚椎症患者(cervical spondylotic myelopathy: CSM)の2群間で、GRPを含む種々のビタミンK依存性蛋白質の濃度を比較する。またこれら蛋白質の濃度と、CT画像上のOPLL重症度との相関関係を検討する。以上の検討により、1.OPLL患者にはビタミンK補充療法の対象となりうる患者がどの程度いるのか、2.GRPを含むビタミンK依存性蛋白質がOPLLのバイオマーカーとなりうるかの2点について検討を行う。 血清の測定項目は、ビタミンKに関連した項目としてGla-rich Protein (GRP)、ビタミンK分画、低力ルボキシル化オステオカルシン(ucOC)、PIVKA-II、Prothrombin time、Protein C、Protein Sを予定している。また骨代謝マーカー:骨吸収マーカーとして血清Ⅰ型コラーゲン架橋Nテロペプチド(NTX)を、骨形成マーカーとして骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)を計測する。術前画像診断として頚椎CTが全例で行われるため、CT上でOPLLの形態分類(連続型、分節型、混合型、限局型)を判定し、靭帯骨化の形態的な重症度を表す骨化占拠率を算出する。また靭帯骨化巣の重症度を数値化するOP index(Hirai T et al., PLoS One 2016)を算出し、採血データとの相関関係を検討する。研究開始から現在までに58検体を採取し、血清を凍結保存している。今年度中に100検体以上を収集し、これらの検査項目と画像所見を計測する予定である。
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