研究実績の概要 |
本研究では移動式X線透視装置の画像と術前に得られた3Dデータをマーカーレスに位置合わせする手法を開発する。第一段階の研究として、X線画像の座標回帰をもとに3D画像とレジストレーションする方法を確立し, 骨盤骨の3Dデータで精度検証を行った。X線画像と術前にCT検査で取得した3次元モデルのシーン座標を定義し, その座標系で3次元点群と2次元座標の対応関係を深層学習により獲得する方法を確立した。6例の骨盤CTデータを用いて精度検証を行った。CTデータからシミュレーションで生成したX線画像を使って, シーン座標を回帰する深層学習を行った。実際のX線画像のような画像を再現するモデルにDeepDRRを用いた。開発した手法と先行研究により報告されているX線画像の位置推定法(PoseNet, DFLNet)を用いて推定精度の検証を行った。まずDeepDRRで作成したX線画像を用いて検証し, 続いて実際のX線画像を用いて検証した。DeepDRR画像での検証では, 推定された位置姿勢と実際の位置姿勢の推定誤差は開発手法, PoseNet, DFLNetそれぞれで平均3. 8±1. 7mm, 7. 6±1. 6mm, 61. 5±91. 9mmであった。また実際のX線画像に適用したところ, 推定誤差は開発手法で9. 6±4. 1mm, PoseNetで39. 6±7. 8mmであった。DFLNetは推定誤差が大きく評価の対象から除外した。いずれの検証でも開発手法は推定誤差が最も少なかった。座標回帰によりX線画像と3Dデータをマーカレスに高精度で位置合わせする技術を確立した。本手法はCアームを用いた骨折手術ナビゲーションのための基本原理となる。
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