研究課題/領域番号 |
23K08627
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
横川 文彬 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (90623645)
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研究分担者 |
長谷 賢 金沢大学, 附属病院, 医員 (60937928)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高圧処理 / 骨腫瘍 / 腫瘍学的安全性 / 骨癒合 |
研究実績の概要 |
本研究の第一の目的は、「骨腫瘍を高圧処理・移植した動物モデルを作成し、高圧処理の腫瘍学的安全性を確認すること」である。この目的を達成するために、まずはウサギの扁平上皮癌であるVX2を含んだ懸濁液を用いて転移性骨腫瘍モデルの作成を試みたが、腫瘍は生着しなかった。そこで当初予定していた方法を修正し、VX2担癌ウサギを購入し、その腫瘍塊を移植することで転移性骨腫瘍モデルの作成に成功した。また計画では腫瘍を脊椎後側方に移植する予定であったが、より正確に腫瘍のサイズや重量を評価するために、ウサギの耳介に移植した。高圧処理を行ってから耳介に移植した群(高圧処理群、N=6)と、処理をせずに移植した群(コントロール群、N=6)において、腫瘍の重量、病理所見の比較を行った。重量は高圧処理群がコントロール群と比較して有意に低かった(0.60±0.11 vs 1.64±0.34)。またHE染色においてコントロール群で明らかに腫瘍が増殖しているのに対し、高圧処理群では腫瘍細胞を認めなかった。その他Ki-67やCytokeratin AE1/AE3での免疫染色を試みている。 本研究の第二の目的は「骨腫瘍を高圧処理・移植した動物モデルにおいて、骨癒合が得られるかを確認すること」である。この目的を達成すべく、当初の予定通り大腿骨で作成した転移性骨腫瘍モデルから採取した骨腫瘍を粉砕し、別個体の脊椎後側方に移植することで骨癒合の評価を行なっている。脊椎へ移植する前に高圧処理を行う群(高圧処理群、N=6)、液体窒素処理を行う群(液体窒素処理群、N=6)、処理をせずに移植する群(コントロール群、N=6)を作成した。本報告の作成時点で移植は終了しており、今後は12週経過した時点で屠殺し、評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高圧処理による殺細胞効果はHE染色の結果から明らかであるが、免疫染色がうまくいかず、多角的な評価を得ることに難渋しているため、「やや遅れている」とした。 骨癒合の評価はモデルの作成中であり、概ね予定通りの進行状況である。
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今後の研究の推進方策 |
免疫染色について、これまで必要物品を購入し手作業で染色を行ってきたが、期待する染色効果が得られないため、今後は専門業者に染色を委託する予定である。 また、令和6年の4-6月に骨移植モデルの屠殺を行い、骨癒合の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験や手術の消耗品にかかる経費が想定よりも少なかったため次年度使用額が生じた。 次年度は当初予定していなかった免疫染色の外部委託などを行う予定であり、これに使用する予定である。
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