研究実績の概要 |
骨軟部肉腫細胞株(LM8,143B, HT1080)を用いてアミノレブリン酸(5-ALA)を用いた光線力学的療法(5-ALA PDT)を中心に2023年度は研究を行った。 In vitroでは5-ALAの代謝経路でがん細胞に蓄積するプロトポルフィリンIX(PpIX)の蓄積をHT1080細胞株を用いて確認し、マウス正常細胞C2C12と比較して5-ALA投与後24時間、48時間で有意に蓄積することが明らかになった。またPpIXが蓄積する原因といわれているフェロキラターゼの発現低下をLM8,143BおよびHT1080の全ての細胞株で確認できた。LM8,143B, HT1080は5-ALAを100ug/mlおよび200ug/mlの濃度で投与して5-ALA PDTを行うとMTS assayで0ug/dlと比較して有意に細胞増殖活性を抑制していた。 In vivoではマウスの背部にLM8,143B, HT1080を移植し、5mm以上に成長後、200mg/kgの5-ALAを腹腔内投与し、その後PDTを行い14日に腫瘍の大きさを比較した。その結果、5-ALA PDTを行ったマウスの腫瘍径は無処置群、5-ALAのみ投与した群、光だけを照射した群と比較して有意に小さいことがわかった。 以上より骨軟部肉腫細胞株において5-ALA PDTは有効であることがわかった。特にマウスに移植した腫瘍での5-ALA PDTの効果を証明した報告は今までになく、極めて重要な結果であったと考えている。
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