研究課題/領域番号 |
23K08630
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 伸一郎 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (20456875)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高位脛骨骨切り術 / キネマティックス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は高位脛骨骨切り術(HTO)を行った症例で、術前および術後のバイオメカニクスを明らかにすることである。具体的にはまずしゃがみ込み、歩行などの動作の透視画像を術前および術後に撮影し、2D-3Dマッチング法を用いて膝関節の動態を解析することである。 ロッキングプレート、人工骨の強度の向上により、最近では脛骨を内側から骨切りを行い、骨切り部を開大させるopen wedge HTO(OWHTO)が盛んに行われるようになった。OWHTOにより下肢が外反することにより、膝関節内側への負荷が減少し、膝関節の疼痛が改善することになる。一方OWHTOでは脛骨内側の関節面を持ち上げるため、正常膝では脛骨関節面は内方に傾斜しているが、術後には脛骨関節面が外方に傾斜し、正常膝と比較すると角度が異なる。過去の報告では脛骨関節面の外方傾斜が強くなると、術後の機能が悪化することが示されている。この機能の悪化の原因がキネマティックスに起因するかを解析することが意義となる。 本研究の現時点での重要性はHTOを行った症例で、術前および術後のキネマティックスの違いを明らかにすることである。まずしゃがみ込み、歩行などの動作の透視画像を術前および術後に撮影し、2D-3Dマッチング法を用いて膝関節の動態を解析する。本研究の現時点での実績としては手術前の動態を撮影することで、術前の膝関節のキネマティックスを解析することができており、研究の継続により、有意義な結果が出ると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は2D-3Dマッチングを用いたHTO術前後のキネマティックスの解明を予定しており、現在12膝の膝関節の動態撮影が終了し、2D-3Dマッチングを用いて解析中である。人工膝関節置換術ですでに行われているイメージマッチング法はHTO前の正常膝においても適応が可能であり、大腿骨、脛骨の相対位置および回旋の関係は解析できている。 HTOを行う膝は、正常と比較してやや変形性膝関節症が進行しているが、人工膝関節置換術を行う症例よりは、変形が少ない。現時点で得られている術前のキネマティックスに関しては、比較的正常膝に近い動きを示していることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在透視撮影は術前の撮影を行っている。術後1年程度で抜釘を行うため、今後抜釘後の症例の透視撮影を行い、2D-3Dマッチングを用いて、術前後のキネマティックスを解析する。解析は脛骨の骨軸および関節面を座標軸と設定し、大腿骨の前後位置、内外側位置、回旋を評価する。この評価により過去にX線の静止画像で評価された大腿骨の外側への偏位が動作時においても起きているのかを確認する。また正常膝で見られたmedial pivot motionがHTO前後で再現されているかも確認する。 2D-3Dマッチングで得られた大腿骨および脛骨の相対位置をコンピュータシミュレーションで再現し、大腿脛骨関節および膝蓋大腿関節の接触力を計算する。その接触力を有限要素法に代入し、それぞれの関節における接触位置、応力を計算する。その接触力を有限要素法に代入し、それぞれの関節における接触位置、応力を計算する。
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