研究課題/領域番号 |
23K08634
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
加藤 欽志 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80622670)
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研究分担者 |
関口 美穂 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00381400)
紺野 愼一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70254018)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | PGC1α / 高齢者 / 運動器疾患 / 身体活動量 |
研究実績の概要 |
2021年9月より症例登録を開始しており、2022年9月1日時点で49例の症例登録であったが、その後2024年3月31日までに、59例の症例を追加し、現在、腰部脊柱管狭窄症患者108名(男性70名、女性38名)の血清PGC1α濃度をEnzyme-Linked Immunosorbent Assayを用いて評価した。 予備調査的解析として、血清PGC1α値の四分位群により4群に分け、人口統計学的データ(年齢、性別、身長、体重、BMI)、腰部脊柱管狭窄症の重症度(罹病期間、症状尺度スコア、QOLスコア)、身体活動度(国際身体活動調査票 IPAQ-SF)、サルコペニア有病率(SARC-F+EBM法)、全身筋肉量(DEXA法)を比較した。 108名の被験者の血清PGC1α値の最小値、第1四分位値、中央値、第3四分位値、最大値は、それぞれ0.85ng/ml、1.91ng/ml、3.29ng/ml、4.28ng/ml、24.9ng/mlであった。血清PGC1α濃度で4群に分けた場合、年齢、男女比、BMI、合併症の有病率に統計学的に有意な差はなかった。腰部脊柱管狭窄症の罹病期間の中央値は全参加者で39.7ヵ月、症状の重症度とQOL尺度の中央値はそれぞれ62.0点と35.7点で、群間で有意な差は認められなかった。IPAQ-SFでは、低活動性(71.4%)、中活動性(12.4%)、高活動性(16.2%)であり、4群間に有意差はなかった。さらに、SARC-F+EBMによるサルコペニアの有病率、全身筋肉量にも4群間で統計学的に有意な差は認められなかった。 現時点の解析では、腰部脊柱管狭窄症患者における血清PGC1α値と臨床所見(特に身体活動度)との間に有意な関連は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例登録は順調に進んでいる。一方で、当初の仮説であったPGC1α値と身体活動度の関連性は明確でない。
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今後の研究の推進方策 |
現時点での予備的解析では、当初の仮説であった腰部脊柱管狭窄症患者におけるPGC1α値と身体活動度の関連性は明らかではなかった。現時点の予備的解析では血清でのPGC1α値のみ検討した。今後は、筋組織内PGC1α発現の評価、経時的な評価、有症状の運動器疾患を持たない健康な高齢者との比較、などの検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度にELISAキット購入費用として使用予定である。
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