研究課題/領域番号 |
23K08646
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
橋本 功 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00718497)
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研究分担者 |
鈴木 健弘 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (50396438)
大野木 孝嘉 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (70913838)
阿部 高明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80292209)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | サルコペニア / ミトコンドリア機能改善薬 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新規化合物 MA-5の i) 骨格筋の機能増強作用の有無を検証すること、および ii) その骨格筋に対する影響・効果を組織学的・分子生物学的に検証することである。 18か月齢の高齢マウスに対してMA-5を連日8週間経口投与し、その運動機能および筋の組織学的検索、更には分子生物学的検索を進めてきた。MA-5の投与群においては、非投与群(対照群)と比較してトレッドミルでの走行時間が有意に延長し、四肢の握力も優位に増強した。一方逆さ把持テストにおいては、有意差こそなかったものの、MA-5投与群で把持時間が延長する傾向が見られた。一方マウスの体重、骨格筋の断面積および湿重量には、MA-5投与群と対照群の間で差は見られなかった。 また速筋線維と遅筋線維を染め分ける蛍光免疫染色において、MA-5投与群では速筋線維の遅筋化が見られ、速筋の遅筋化が誘導されていることがわかった。 次に筋細胞内のミトコンドリア活性を、免疫組織化学で確認した。まずミトコンドリア呼吸鎖複合体Iの活性を反映するNADH-TRで染色すると、有意差はないもののMA-5群でその活性が高い傾向が見られた。さらにミトコンドリア呼吸鎖複合体IIの活性を反映するSDHでで染色すると、MA-5投与群において対照群と比較して優位に高い活性が見られた。電子顕微鏡で確認すると、高齢マウスの筋細胞で見られるミトコンドリアの空胞形成が、MA-5投与群では減少していた。これはミトコンドリアの質的・形態的改善を見ているものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のごとく、現時点において研究結果がある程度仮説通りに出ているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、RNA-Seq法などを用いた網羅的遺伝子解析、血液を用いたメタボローム解析などにより、ミトコンドリア機能改善薬が筋細胞に与える影響を更に詳細に検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に必要な試薬等の費用が予想以上に少なく済んだため、次年度に繰り越すこととなった。
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