研究課題/領域番号 |
23K08726
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
高木 敏男 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00385387)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 腎細胞がん / 免疫チェックポイント阻害薬 / バイオマーカー / 腫瘍浸潤免疫細胞 |
研究実績の概要 |
腎細胞がんの多くは初期のステージで発見され、外科的切除により根治が可能だが、初発時の約15%には転移が認められ、その場合には予後不良である (Int J Urol. 2019;26:608-617)。免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の抗PD-1抗体ニボルマブは、2016年に国内で血管新生阻害薬による治療後の進行性腎細胞がんを適応症として承認され、2018年には抗CTLA-4抗体イピリムマブとの併用が承認された。ICIの併用療法は、標準治療であったスニチニブの単剤療法と比較して有意な全生存期間の延長を示したが、奏効率(CR+PR)と完全寛解率(CR)はそれぞれ42%と9%で(N Engl J Med. 2018;378:1277-90)、治療効果を示す患者は一部である。この適応ではICIに対する反応を予測するバイオマーカーは確立されておらず、ICIが有効である患者を予測するバイオマーカーの探索が喫緊の課題である。そこで本研究では無治療の転移性腎細胞がん患者に対して腎原発巣の外科的切除を行なった検体を用いて、腫瘍中に浸潤する免疫細胞の解析を行う計画を立案した。2023年度は、転移性腎細胞がんの原発巣に対して外科切除又は生検を行った症例のHE染色を見直し、腫瘍微小環境をInflamed, excluded, desertの3群にカテゴリー化し、臨床病理学的所見との相関を解析した。またそれらの切片のうちで、多重免疫染色を行う代表切片の選択を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は転移性腎細胞がんの原発巣に対して外科切除を行った検体の多重免疫染色を行う予定であったが、代表切片の選択を行うところまでで終了しているため、上記区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は多重免疫染色を終了し、腫瘍浸潤免疫細胞のデータと臨床病理学的データを統合し、バイオマーカーの同定を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は転移性腎細胞がんの原発巣に対して外科切除を行った検体の多重免疫染色を行う予定であったが、代表切片の選択を行うところまでで終了しているため、直接経費がかからなかった。次年度、多重免疫染色を行うため、予算を執行する。
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