研究課題
近年、免疫チェックポイント阻害剤の効果予測因子として、腸内細菌とその代謝産物の重要性が相次いで報告されている。しかし、腎細胞癌を含む悪性腫瘍患者における細菌以外の腸内微生物叢のプロファイリングについては進んでいない。さらに進行性腎細胞 癌においては現在免疫チェックポイント阻害薬を含むがん複合免疫療法が治療の主体となっており、治療効果を予測する新たなバイオマーカーの探索が求められている。本研究では、進行性腎細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害剤を含むがん複合免疫療法と真菌・ウイルスを含めた腸内微生物叢や腸管免疫環境の変化を調べ、その抗腫瘍効果との関係性を明らかにすることである。まず、我々は手術加療を行う限局性腎細胞癌患者、免疫チェックポイント阻害薬を含むがん複合免疫療法を導入した進行性腎細胞癌患者から治療前、治療3ヵ月後、治療6ヵ月後の糞便、血液検体を採取した。これまでに限局性腎細胞癌患者28名、進行性腎細胞癌患者17名の検体を採取しており、今後、次世代シークエンシングによる配列解析を行い、腸内細菌・真菌・ウイルスを同定する予定としている。そこから得られた結果から免疫チェックポイント阻害剤を含むがん複合免疫療法の治療効果と相関する腸内微生物叢プロファイルの探索ならびに治療奏効期間、生存期間と相関する腸内微生物叢プロファイルの探索、短鎖脂肪酸との相関解析、腎細胞癌組織における免疫細胞の発現と腸内微生物叢との相関解析を行う予定である。
3: やや遅れている
これまでに限局性腎細胞癌患者28名、進行性腎細胞癌患者17名の糞便検体を採取しており、研究参加に同意を頂いた患者の臨床情報が得られている状態である。今後、採取した糞便検体の各種解析、組織検体の解析を行い、腎細胞癌患者の治療効果の差異に関して腸内微生物叢プロファイル解析とそれらが産生する短鎖脂肪酸をはじめとした代謝産物を解析し、それらが与える影響について明らかにしていく予定である。しかし、検体採取にやや時間を要しており、研究の進捗はやや遅れている。
実験計画に基づいた研究を遂行する。現在までに手術加療を行う限局性腎細胞癌患者、免疫チェックポイント阻害薬を含むがん複合免疫療法を導入した進行性腎細胞癌患者からの検体が採取されており、今後、糞便検体の各種解析、組織検体の解析を行い、腎細胞癌患者の治療効果の差異に関して腸内微生物叢プロファイル解析とそれらが産生する短鎖脂肪酸をはじめとした代謝産物を解析し、それらが与える影響について明らかにしていく予定である。
研究計画がやや遅れていることから、今後検討を進めていく際に必要となる実験器具の購入ならびに解析に必要な費用が使用されていない。本年度、実験を遂行するにあたり必要な費用となってくる。
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