研究課題/領域番号 |
23K08763
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
田口 和己 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (00595184)
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研究分担者 |
田上 辰秋 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (10609887)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30381867)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
海野 怜 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40755683)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70444966)
杉野 輝明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70881746)
濱本 周造 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80551267)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 尿路結石 / マクロファージ / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
【背景・目的】これまでに私たちは、マクロファージ(Mφ)が尿路結石の形成および消失に関与していることを報告してきた。また、抗炎症性M2Mφが強い結石食作用を持ち、結石形成を抑制することも示した。しかし、Mφによる結石食作用のメカニズムは明確ではなく、体内での分化誘導方法も課題である。このため私たちは、ナノ粒子を使用した薬物送達システム(DDS)によるMφの貪食作用の向上の可能性に着目した。今回、MΦの貪食作用向上のため、これまでの研究成果からビオグリタゾン(PGZ)をナノ粒子装填薬剤として選んだ。 【方法】6-8週齢のC57BL/6J雄マウスから骨髄由来のMφ(BMDM)を採取した。シュウ酸カルシウム一水和物(COM)、COM+PGZ(5μM)、およびCOM+PGZ(10μM)を添加した3群のBMDMにおいて、M2Mφへの分化誘導をフローサイトメトリー(BD FACSCantoII)で評価した。PGZをカプセル化したナノ粒子は、PLGA(L/G比 75:25)とPGZを使用したemulsion solvent diffusion methodで調製した。 【結果】フローサイトメトリーにより、BMDM+COM群では30,000細胞中67個、BMDM+COM+PGZ(5μM)群では212個、BMDM+COM+PGZ(10μM)群では155個のM2Mφ(F4/80(+)およびCD206(+)で示される)が確認され、PGZ装填群で増加が示された。 【結論】PGZをカプセル化したナノ粒子がM2Mφへの分化誘導を向上させる可能性が示されたが、さらなる検証が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、上記のin vitroの研究に加えて、モデルマウスを利用したin vivoの研究も予定していた。しかし、in vitroの研究に使用する骨髄由来MΦの確保のためのマウス実験に時間を要したことと、ナノ粒子作成の調整、ナノ粒子投与のための尾静脈注射の手技確立などの問題があり、予定より遅れている。 これらの準備がほぼ整ってきているため、次年度に早々に実験をすすめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ粒子の作成・評価を行う薬学研究科、薬物送達学分野での研究体制が整いつつある。さらに今後はナノ粒子の調整のみならず、基本的なin vitroの研究も同施設で行っていく予定であり、実験速度をさらに加速させていく。 さらにin vivo研究についても体制が整っているので、医学研究科にてマウス実験をすすめていく。 マイクロバルブについては、ディスカッションとpreliminaryな研究をすすめていくことで、すぐにでもin vitro, in vivoな研究が行えるよう、体制を整えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のように、in vivo研究であるマウス実験において研究の遅れが生じた。 そのため、必要な試薬やナノ粒子生成費用などに未使用および変更があった。 これらに関しては次年度以降に調整していく予定である。
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