研究課題/領域番号 |
23K08764
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
黒川 覚史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50468253)
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研究分担者 |
神沢 英幸 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00551277)
加藤 大貴 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00620931)
西尾 英紀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (10621063)
林 祐太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40238134)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
水野 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70448710)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 尿道下裂 / 遺伝子 / 遺伝子導入 / 口腔粘膜 / 尿道下裂修復術 / アデノウイルス |
研究実績の概要 |
尿道形成に関わるPip遺伝子の発現ベクター作製を行っている。これまで行ってきた尿道形成の遺伝子解析から同定したラットPip遺伝子について、全長cDNAをサブクローニングしている。哺乳類の細胞内で目的遺伝子を発現できるように上流にプロモーター配列としてCAGプロモーターを使用する。また、遺伝子導入部位を同定するためのマーカータンパクeGFPを発現できるように、PipとeGFPのcDNAとの間にIRES (internal ribosomal entry site) 配列を挿入する。プラスミド内で作製した目的遺伝子配列をシークエンスし、全塩基配列について変異のないことを確認している。 次に、目的遺伝子配列を非増殖性アデノウイルスのゲノムDNA内に組み込みアデノウイルスベクターを作製する。コントロールベクターとしてeGFPのみを発現するベクターも作製する。非増殖性アデノウイルスは、ヒト5型を改変し増殖に必要なE1E3領域を欠失させたものである。作製したアデノウイルスベクターは、増殖に必要なE1領域を発現したHEK293細胞内でしか増殖できない。HEK293細胞にアデノウイルスをトランスフェクトし大量増殖させた後、アデノウイルスを培養細胞ごと回収し凍結・融解により細胞壁を破壊し、Adeno-X Maxi Purification kit (Clonetech社)のカラムクロマトグラフィーで精製する。 さらに、Adeno-X Rapid Titer kitを用いてタイター測定しウィルス溶液を調整する。感染力価を測定した組み換アデノウイルスベクターは、凍結保存する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サブクローニングに時間を要しているためにやや遅れている。組み換え遺伝子配列が長いためにプラスミド内でうまく増殖できずに、色々なコンピテントセルを試していることで、長期間かかっている。コンピテントセルの種類だけでなく、増殖温度なども調整して、プラスミド内の目的遺伝子が変異しないように工夫している。増殖した目的遺伝子配列は、シークエンスし、全塩基配列について変異のないことを確認している。 一つ一つのステップを間違うことなく完了し積み上げて、次のステップへ進んでいく必要があるために、時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
サブクローニングにおける条件設定は最初が肝心であるために時間を要しているが、条件設定が決定できればあとは時間配分などの計画も立てやすく、軌道に乗せることができる。十分なクミカエアデノウイルスベクターを準備しつつ、同時並行で、口腔粘膜の採取、培養を進めていく予定である。コンフルエントになったらアクターゼで細胞を回収し、遠心分離で細胞ペレットとする。回収した細胞ペレットを分注・培養し細胞数を十分増殖させた後、コンフルエント48時間前の培養液内にアデノウイルスベクターを投与し、目的遺伝子を強発現させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
立案した3年の研究計画のうち、まだ1年経過した段階であり今後さらに研究を進めるので次年度使用額は生じる。 今回作製したアデノウイルスベクターは、継続的にHEK293細胞にトランスフェクトし大量増殖させ、クロマトグラフィーで回収・精製する必要がある。精製後に感染力価を測定し、凍結保存しておくが、培養細胞への遺伝子導入を行うたびに補充が必要と考えている。 培養細胞は、ラットの口腔粘膜細胞を予定しているが、ラットを購入、飼育する必要がある。採取した口腔粘膜は抗生剤・抗真菌剤を添加したPBS内で4℃低温培養する。その後ディスパーゼとDMEMを加え上皮細胞を回収し細胞数を計測後に、上皮成長因子・抗生剤・抗真菌剤を添加しDMEM内で培養する。コンフルエントになったらアクターゼで細胞を回収し、遠心分離で細胞ペレットとする。回収した細胞ペレットを分注し細胞数を十分増殖させた後、コンフルエント48時間前の培養液内にアデノウイルスベクターを投与し、目的遺伝子を強発現させる予定である。 遺伝子導入した口腔粘膜由来組織を補填する新術式として、尿道下裂モデルラットに、移植する予定である。尿道欠損部にあてた口腔粘膜グラフトを被覆する必要である。創部被覆剤として、ハイドロコロイドゲルを使用する予定である。移植後は経時的にHE染色、免疫染色で組織評価を行う予定である。
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