研究課題/領域番号 |
23K08806
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
重富 洋志 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (20433336)
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研究分担者 |
今中 聖悟 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20790306)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 子宮内膜症 |
研究実績の概要 |
子宮内膜症は月経困難症、不妊症を特徴とする婦人科疾患であり、まれにがん化する。我々は、術中に採取した多数例の内膜症嚢胞液の保存検体を用いて嚢胞内の鉄濃度を生化学的に測定した結果、鉄濃度は、術前の月経困難症の重症度と正の相関を示し、術後のendometriosis fertility index (EFI)と負の相関を示した。従来、鉄濃度を測定するためには手術時に採取するという侵襲的方法しかなかったが、非侵襲的に鉄濃度を測定する技術として、近赤外光を用いた経腟光学技術を開発した。鉄濃度測定のためだけに新たに超音波診断装置を購入することは非経済的であるため、現在市販されている経腟超音波診断装置のプローブに近赤外光診断装置アタッチメントを着脱するというアイデアのもと、着脱可能な新規プローブの開発と改良を開始した。近赤外光診断装置アタッチメントとして、採卵時に使用する器具に近赤外光を照射するファイバーおよび光を受光するファイバーを内蔵させ、データを外部PCで解析する装置を開発しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エコープローブはメーカーによりアタッチメントのサイズや形状が異なるため、どのようにして互換性を持たせるのか、また、近赤外光診断装置を組み込むことで予想外のサイズにならないこと、さらに、ワンタッチで簡単に装着できることを念頭に置いて研究を開始した。関連企業からアドバイスをいただきながら試作設計を行った結果、採卵時に使用する器具に近赤外光を照射するファイバーおよび光を受光するファイバーを内蔵させるのが実用的であるとの結論に達した。現在は、近赤外光診断装置アタッチメントの試作に取り組んでいるところである。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、どのような内部構造がアタッチメントのサイズの減少に寄与できるのか検討しているところであり、シリコン樹脂によるアタッチメントの加工も視野に入れている。おそらく1年以内には近赤外光診断装置アタッチメントの試作が完成する予定である。また、膣からどの程度の距離にある嚢胞に対して測定が可能なのかについても今後検討する予定である。これらの検討が終了した後に既知濃度の鉄濃度と試作した近赤外光診断装置での測定値との相関を求める予定である。2013年から2021年に手術を行った内膜症症例はすでに嚢胞内ヘモグロビン、総鉄、ヘム鉄、自由鉄が測定されているため、これらの残余サンプルを用いて評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会やミーティングのWeb開催により、交通費や宿泊費の支出が減少したこと、およびエコープローブアタッチメントはメーカーにより提供いただいたことなどによる。
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