研究課題/領域番号 |
23K08811
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
市塚 清健 昭和大学, 医学部, 教授 (00338451)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 強出力集束超音波 / 病的胎盤 |
研究実績の概要 |
予後不良な疾患である双胎間輸血症候群および胎盤血管腫を対象疾患として想定し、それらに対してHIFUを用いてこれまでにない非侵襲治療の開発を目指した研究である。SMI(superb microvascular imaging)機能搭載超音波診断装置を用いて①双胎間輸血症候群における責任血管である胎盤表面吻合血管を同定し、同血管に対してHIFUを用いて血流の遮断を行う②胎盤血管腫において血管腫内の血管に対してHIFUで焼灼し血流を遮断する。以上によりHIFUを用いた病的胎盤に起因する胎児疾患を母体に対して非侵襲的に治療し、児の予後改善を果たすことが本研究の真の目的である。それに先立ちin-vitroおよびin-vivo実験を通して臨床応用に資する知見を集積することを本研究課題の目的とした。 令和5年度は①筆者らがこれまでの研究により作成した可変焦点式マルチチャンネルのHIFUトランスデューサと細径かつSMI搭載の超音波診断装置と連動可能な一体型HIFU治療装置を構築し、胎盤内の絨毛血管が描出可能であることを確認した。 ②①で構築したHIFU治療装置を用いてHIFU照射を行い実際のHIFU焦点部位と画像上との部位の一致性の確認を、HIFU専用超音波ファントムを用いて行い、一致性を確認した。さらに、HIFU照射部位を移動させた場合の照射部位と画像上における超音波ファントム被照射部位との追認及びその一致性も確認できた(in-vitro)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書にある様に本年度は主に超音波診断装置を用いて、まず胎盤内の絨毛血管の描出を確認することができた。また同装置を用いて超音波ファントムを描出し、HIFU照射を行い、目標焦点と実際の照射部位との一致性の確認もできた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は①本年度の胎盤血管描出に要する超音波諸条件の知見をもとに1絨毛膜2羊膜双胎における胎盤表面吻合血管の描出を試み、その再現性を確認する(in-vivo)。②娩出後のヒト胎盤を実験に供する。臍帯動静脈にカニュレーションを行いヘパリン添加した生理食塩水をシリンジポンプを用い(30-40cm/s)胎盤方向へ注入する。超音波ガイド下でSMIモードを用い胎盤表面血管を描出し、そこへこれまでの知見から得られたHIFU照射条件で照射し血管遮断を行う。同部位を病理学的に検討し、最適(最も低出力で完全な遮断が得られた)なHIFU設定条件を求める。併せて胎盤実質内にも照射し病理学的に絨毛血管の閉塞を確認する(in-vitro)。
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次年度使用額が生じた理由 |
超音波ファントムが海外メーカーのため価格変動が生じた(価格高騰)ことなどにより予算に変更を余儀なくされ差額が発生した。次年度使用額である3,396円については次年度の価格変動分に充当する予定である。
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