研究課題/領域番号 |
23K08844
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三木 梨可 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (30516133)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / EVT / 絨毛膜外栄養膜細胞 / 線溶系 / 浸潤 |
研究実績の概要 |
妊娠高血圧腎症は、絨毛膜外栄養膜細胞(EVT)の浸潤低下が起因となり胎盤が低酸素状態に陥り母体の血管内皮障害により高血圧を示すとされている。このEVTの浸潤低下により胎盤低形成が生じ子宮内胎児発育遅延が起きるとされる。 これまでにin vitroにおいてリゾリン脂質のスフィンゴシン1リン酸(S1P)が線溶系のプラスミノーゲン活性化アクチベーターとプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1を制御していることを明らかにした。S1Pレセプターの発現変化と細胞密度が相関していることから細胞間シグナル伝達経路のNotchシグナルに着目した。そこで本研究ではNotchシグナルがS1Pレセプターを介してEVTの浸潤促進と停止を制御しているか検証した。 レトロウイルスを用いてNotch3遺伝子強制発現HTR8/Svneo細胞を作製した。Notch3遺伝子強制発現HTR8/Svneo細胞においてS1Pレセプター1の発現は低下し、S1Pレセプター2発現は亢進していた。またプラスミノーゲン活性化アクチベーターは低下しプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1の亢進も観察された。さらにNotch標的遺伝子の既知のbHLH型抑制性転写因子のうち、HES1の亢進が観察された。そこでHES1強制発現HTR8/Svneo細胞を作成した。しかし作製したHES1強制発現HTR8/Svneo細胞ではS1PR1および2の発現や浸潤能に変化がみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試薬の輸入が大幅に遅れたため実験計画が遅れている。また研究施設の閉鎖に関連した研究以外の業務の増大によって、本研究にさける時間が予想外に少なくなったため、進捗は芳しくない。
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今後の研究の推進方策 |
HES1以外のNotch標的遺伝子の同定を行い、強制発現細胞の作製を行う予定である。妊娠高血圧症候群の胎盤と正常胎盤におけるNotch3の免疫染色を行い疾患とNotch3の関連について解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の輸入が大幅に遅れたため実験計画が進められなかった。また研究施設の閉鎖に関連した研究以外の業務の増大によって、本研究にさける時間が予想外に少なくなり実験が行えなかったため物品の購入が少なかった。
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