研究課題
早発卵巣不全を事前に予測する方法の開発として、抗POTEF抗体測定法の改良を行っている。特許出願「早発卵巣不全を検査する方法」については、登録査定となっており、今後特許登録を予定している。測定法の改良については、感度の改善を図るため、抗原固相化法ならびにブロッキング剤の検討を行った。抗原固相化の検討としては、固相化時のバッファーについて複数のバッファーの検討を行った。ブロッキング剤については、市販のブロッキング剤も含め、複数の検討を行い、最適な固相化バッファーとブロッキング剤の組み合わせを同定している。また、多検体測定のため、倫理委員会承認の下、早発卵巣不全患者に同意を得て測定用の血清検体を蓄積している。POTEFタンパク質の初期卵胞発育と維持へのはたらきについては、薬剤誘導性にPOTEFを発現増強した顆粒膜細胞(CuO-POTE-Flag-HGrC1) と発現増強していない顆粒膜細胞を用いたRNA-Seq解析による発現変動遺伝子の解析を行った。2種類のCuO-POTE-Flag-HGrC1を用いて解析を行った。|Fold Change|>2、P値<0.05の条件で解析を行った結果、POTEF発現により2株に共通して28遺伝子の発現量が増加、51遺伝子の発現量が低下した。また、それぞれ5遺伝子がautophagyに関連した機能をもつ遺伝子であった。発現変動を示した各遺伝子の機能を検討したところ、2株に共通して減少したものにAMHR2が認められた。AMHは一次卵胞から小胞状卵胞の顆粒膜細胞で分泌され、休眠卵胞の維持に寄与するとされている。POTEFが発現している顆粒膜細胞では、卵胞の休眠維持の作用がPOTEF dependentとなり、POTEFの発現が低下することでAMHによる卵胞の休眠/活性化のコントロール下になる可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた抗POTEF抗体測定につき、抗原固相やブロッキングバッファーの検討を行っている。POTEFの顆粒膜細胞における機能については、薬剤誘導性にPOTEFを発現増強した顆粒膜細胞(CuO-POTE-Flag-HGrC1) と発現増強していない顆粒膜細胞を用いたRNA-Seq解析による発現変動遺伝子解析により、休眠維持に関与するAMHRの発現変動が同定された。
抗POTEF抗体測定価測定につき、抗原固相化ならびにブロッキング剤の条件が固定された後、二次抗体の検討や至適血清希釈濃度の設定を行う。各条件が固定されたのち、プロトタイプ作成を行う。プロトタイプ作成後に測定に用いる患者血清につき、引き続き、同意書取得と血清の蓄積を行う。POTEFタンパク質の卵胞顆粒膜細胞における機能については、CuO-POTE-Flag-HGrC1を用いて、RNA-Seqで同定されたAMHRとの関連についての解析を進める。POTEF発現/非発現とに伴うAMHR発現挙動の変化について遺伝子発現解析による検討や、POTEF発現に伴うAMHRの細胞内局在の変化について細胞蛍光免疫染色等を用いた検討を行う。
研究分担者や共同研究者との試薬の共有、利活用などにより、初年度の予定より経費を抑えることができたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については次年度以降、効率的な高POTEF抗体価測定法の確立のため、抗原たんぱく質の精製ほか、ELISA作成に必要な物品、試薬の購入に使用し、研究を発展させる。
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