今後の研究の推進方策 |
現在まで、ATRX病的バリアントを標的とする化合物等は、探索・同定に至っていない。そこで、申請者は、ATRX病的バリアントに結合して、ヒト子宮平滑筋肉腫が増殖しないようにする薬剤の候補を探索する。ATRX病的バリアントと約2000種類の既存医薬品がどう作用するか、CLC GWBとQCITM Interpret (QIAGEN社 184万円/年)又は分子の動きを「スーパーコンピューター富岳(理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS))」と「MOEケモインフォマティクス解析」でin silico解析シミュレーションを行い、治療薬として効果が期待できそうな化合物を探索する。さらに、ATRX病的バリアントへの標的化合物は、神経膠腫(神経膠芽腫)の新規治療法への応用も考えられる。 申請者らの遺伝子改変マウス(Lmp2/β1i欠損マウス:子宮平滑筋肉腫自然発症モデル)を用いた基礎研究と臨床研究(子宮平滑筋肉腫65例)、京都大学医学部附属病院 癌ゲノム医療での症例報告(子宮平滑筋肉腫5例)を総合的に考えると、子宮平滑筋肉腫の遺伝子病的バリアントとして、ATRX(19例/66例)が、検出されている。具体的には、ATRX K259fs, Y511H, Y545H, T745fs, T792fs, K1608Rfs, K1646Rfs, G1749V, G1787V, などである。「MOEケモインフォマティクス解析」によって、これらATRXの変異体の立体構造の予測を行う(株式会社モルシスの技術者の協力下で行われる)(ATRX変異体の立体構造をPDBに登録する)。
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