研究課題/領域番号 |
23K08907
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
杉内 友理子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (30251523)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 前庭 / 頚筋 / シナジー / 前庭脊髄路 |
研究実績の概要 |
麻酔下のネコを用いて上部頚髄において軸索内記録を行った。中耳骨包を開放して内耳窓に銀ボール電極を設置し、前庭神経の電気刺激を行った。同側または対側の前庭神経の電気刺激に単シナプス性に応じるものを二次前庭神経核細胞と同定した。これに徒手回転台を用いて自然回転刺激を与え、記録細胞がどの方向の回転刺激に応じるかを明らかにし、その半規管入力の種類を同定した。その単一軸索にhorseradish peroxidase(HRP)を細胞内注入し、一定の生存期間をおき、還流、固定後、脳および脊髄を摘出し、連続切片を作成、HRPを発色させた。軸索を3次元的に再構築し、上部頚髄灰白質内での側枝の分枝および投射様式を明らかにした。また、前庭神経核内におけるその起始細胞の存在部位を同定した。 その結果、水平半規管刺激に応答する軸索は、上部頚髄において多数の軸索側枝を分枝し、灰白質前角においてさまざまな頚筋運動神経核の存在領域を含む広範な領域に投射していることが明らかとなった。先の我々の電気生理学的研究より、対側水平回転に応じる軸索は興奮性細胞であり、同側水平回転に応じる軸索は抑制性細胞であると同定されたが、それらの間で、上部頚髄において支配する頚筋の運動神経核の分布には明瞭な違いは認められなかった。 一方、垂直半規管刺激に応答する軸索の投射領域は、水平半規管刺激に応答する軸索に比して、比較的限局的である傾向が認められた。現在これらの軸索の標的運動神経核を比較解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予想通り、前庭頚反射を仲介する前庭脊髄露細胞が、その作用方向により異なるグループの頚筋を支配していることを示唆する知見が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
半規管入力の種類と、前庭脊髄路細胞の支配する標的運動神経核を比較解析する。それにより、作用の異なる単一前庭脊髄路細胞により支配される筋シナジーに相違があることを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は手持ちの動物と標本作成用資材を用いたため当該助成金が生じた。次年度の助成金と合わせ、研究成果の取りまとめを行う予定である。
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