研究課題/領域番号 |
23K08957
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上野 貴雄 金沢大学, 附属病院, 助教 (30623649)
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研究分担者 |
吉崎 智一 金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | IgG4関連疾患 / 嗅覚障害 |
研究実績の概要 |
IgG4関連疾患(以下、IgG4-RD)は、高IgG4血症と全身の諸臓器へのIgG4陽性形質細胞浸潤、線維化を主体とした疾患であり、耳鼻咽喉科領域では唾液腺腫脹腫を呈するTh2応答優位な慢性炎症性疾患である。 以前、我々はIgG4関連疾患患者における嗅覚障害の有病率が高いことを明らかにした。また、IgG4-RDモデルマウスであるLATY136FノックインマウスではTh2優位のサイトカイン産生と唾液腺や膵臓、肺におけるIgG4陽性形質細胞浸潤や肥厚、線維化が生じるが、嗅上皮には形質細胞浸潤や線維化は認めず、むしろ嗅上皮の厚みは低下し、成熟嗅神経細胞や幼弱神経細胞の減少を認め、行動学的には嗅覚障害を呈することを明らかにした。 臨床において、IgG4関連疾患には副腎皮質ステロイドが有効であることが知られているが、IgG4-RDモデルマウスであるLATY136Fノックインマウスにおいての効果は不明であった。 そこで、LATY136Fノックインマウスの嗅覚障害に対するステロイドの効果を検討した。LATY136Fノックインマウスは6週齢でIgG4-RD様の病変を示し始める。LATY136Fノックインマウスにおける嗅覚機能障害は、少なくとも8週齢までには存在する。本研究では、嗅覚機能障害が完成する前の4週齢からLATマウスに副腎皮質ステロイドを注射し、嗅覚機能障害の改善を観察した。これは副腎皮質ステロイドの予防効果によるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床的にIgG4関連疾患に対するステロイドの効果は報告されているが、そのモデルマウスにおけるステロイドによる病態改善の報告はこれまでなかった。論文化予定である。
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今後の研究の推進方策 |
嗅上皮や脳における組織学的検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験に使用するマウスの繁殖に時間を要し、予定より少ない匹数にとどまったため、次年度使用額が生じた。次年度以降に実施使用の予定である。
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