研究課題/領域番号 |
23K08964
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
濱本 隆夫 広島大学, 病院(医), 講師 (70448249)
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研究分担者 |
濱 聖司 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (40397980)
辻 敏夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90179995)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 嚥下 / リハビリ / 嚥下機能評価 / 磁気センサー / 嚥下音 |
研究実績の概要 |
2023年4月から2024年3月までの期間において広島大学病院耳鼻咽喉科において嚥下機能評価を行った嚥下障害患者を対象に、嚥下内視鏡検査・嚥下造影検査・「磁気センサーと振動マイクを用いた嚥下機能測定機器;SMD」での評価を行い、それぞれのデータ収集を行った。SMDで測定収集されるデータはソフトウェア解析により嚥下開始、食塊送り込み、食道通過、喉頭挙上回帰、嚥下終了のタイミングが測定される。また嚥下音解析からは喉頭蓋閉鎖音、摂食物通過音、喉頭蓋開大音が収集される。これまでおよそ30症例で検査データ収集が行われ、現在SMDで収集されたデータと嚥下造影検査の動画解析で検出したデータとの相互性について統計解析を行っている。 実際にSMDを用いた嚥下運動や嚥下音のデータ収集を行うとSMD装着の具合や摂食物の形態、量などにより検出困難な場合や収集されるデータに多少のばらつきが生じることが分かり、研究分担者や機器開発者と適宜調整検討を行っている。 また、化学放射線療法を受ける頭頸部がん患者では治療中の喉頭感覚低下は必発であり、治療中の誤嚥防止を目的とした「息こらえ嚥下」、「嚥下後の咳払い」練習を行っている。化学放射線療法をうける頭頸部がん患者は治療中に連日嚥下リハビリを行っており、これら症例を対象にSMDを用いた嚥下リハビリ、特に嚥下後咳払いを中心とした誤嚥防止リハビリを試行した。口頭指示のみで行う場合に比較し、SMDを装着し喉頭の動きと嚥下音発生のタイミングを見計らいながらの訓練を行う場合ではSMD検出画面を明示することによるvisual feedbackがある方が訓練の習得が早まることが分かった。 今後はSMDデータとその他嚥下機能評価で得られるデータ集積を継続し、収集データを機械学習にて解析する予定である。また、合わせて実臨床のリハビリでの有効活用の方法を模索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
嚥下機能障害を主訴に嚥下機能評価を行う症例は比較的多く、SMDを用いた嚥下機能評価データ集積が行われている。また、頭頸部癌に対して化学放射線療法を行う入院患者が多く、嚥下リハビリ介入の症例も多いことからSMDを用いたリハビリ実施の機会が多く、有効活用の方法模索が行いやすい状況にある。ただし、より多くの症例集積が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
より多くの症例でSMDを用いた嚥下機能評価を行い、嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査で解析されるデータとの相互性について検討する。このため、嚥下機能評価時のデータ収集を行う人員として研究分担者を増員する予定である。 SMDでのデータ収集の再現性を改善するための機器開発やソフトウェアの調整等を研究分担者、機器開発者と連携をとり行っていく予定である。合わせて嚥下リハビリで使用する上での改善点についても検討を重ねていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動画解析やデータ解析のために購入を想定していたPCは、より安価で同等スペックのPCが販売されたため、それを選択したため物品費に差額が生じた。勤務時間内での対応が可能となるよう調整を行うことが可能となり、嚥下機能評価や嚥下リハビリを行う際の技師への人件費に差額が生じた。発表や出席を考慮していた学会や情報収集を目的とした他施設への見学等に変更があったため旅費に差額が生じた。研究に関連する論文の作成を行うことができたため、論文投稿に関連する費用として研究費を使用した。 年度はじめに病院設備である嚥下造影検査を行うためのX線透視機器の更新があり、嚥下造影検査のデータ収集を行うことができなかった期間が2ヶ月あった。このため、想定していたよりも嚥下機能検査を行う症例数が減少した。次年度では嚥下リハビリを行う際のベッドサイドで使用するPC端末の購入のための設備備品費用、情報収集、学会発表のための旅費、論文投稿のため費用を計上している。
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