研究課題/領域番号 |
23K08974
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
海老原 央 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50892824)
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研究分担者 |
大村 和弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90599713)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 悪性転化 / 病理学的悪性度 |
研究実績の概要 |
鼻副鼻腔内反性乳頭腫は扁平上皮癌をはじめとした悪性腫瘍に転化する特徴を持つ。治療は基本的に外科的治療である。腫瘍基部を明視下に置き、基部を切除後に基部の骨までドリリングすることで 腫瘍再発率が低下したとの報告がされて以降、腫瘍基部の処置徹底が重視されてきた。しかし腫瘍基部以外の手術方法については現在のところ統一されていない。鼻副鼻腔内反性乳頭腫は上顎洞を始めとした鼻副鼻腔を占拠するまで増大する症例も多く、内視鏡下で一塊切除するには高い技術を要するため、術前診断が良性の場合、腫瘍基部以外はパワーデバイスなどを用いた分割切除を行い、腫瘍の基部のみを病理標本として提出する場合も多い。腫瘍が分割切除され断片化することで、後方視的に腫瘍の悪性度や悪性転化部位の評価を行うことは困難であり、悪性転化機序の解明はいまだにされていない。しかし当院では独自開発した手術技術を駆使して高い確率での一塊切除が可能である。その強みを活かして、一塊切除した悪性転化検体を評価することで、同一個体内での正確な解剖学的部位評価のもと増殖能や細胞異形成、HPV感染などの病理学的変化と、遺伝子変異などの遺伝子レベルでの変化を解析することを目的としている。当施設は鼻腔腫瘍の症例数が日本で最も多いため、希少癌で検体採取が困難な鼻副鼻腔内反性乳頭腫由来扁平上皮癌であるが、これまでに手術を行った症例で病理標本を作成、その病理学的変化を評価する段階まで研究を推し進めることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内反性乳頭腫由来の扁平上皮癌症例は日本で最も症例数の多い当院においても年間で数例にとどまるが、これまでに当院にて一塊切除し得た内反性乳頭腫由来の扁平上皮癌症例の標本を病理部医師とともに作成することができた。また、それらの腫瘍全体の病理学的な評価までは行うことができている。今後の遺伝子解析に向けておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はすでに作成した病理標本を、外部業者にも一部委託しつつ、その病理学的特性をそのままに遺伝子解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
鼻副鼻腔内反性乳頭腫由来扁平上皮癌は希少で頻度が低く、今年度内では症例の検体採取、病理標本作成まで行うことができたが、標本の遺伝子解析までは行うことができなかったため次年度使用額が生じてしまった。翌年度分として請求した助成金と合わせて、現在作成できている病理標本の遺伝子解析、評価に使用する予定である。
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