研究課題
既にm6A量評価をしている、癌部と非癌部の臨床検体ペア44サンプルに対して、m6A量の豊富な検体からまずは網羅的環状RNA検索を行う。Total RNAを抽出後、poly-A tailを持たないものだけ、つまりは環状RNAで測定確認。またArrays tar circRNA arrayにて環状RNAの特定を行い、非癌部と比較することで、頭頸部癌特異的な環状RNAの候補を検討する。同定した候補環状RNAに特異的なプライマーを作成し、RT-qPCRにて検体全体の解析をすすめる。現在までにTotal RNAでのm6A評価はおこなっているが、環状RNAのみでのm6A量の評価も当科の保持している頭頸部癌検体で行う。それ以外も含め40症例で血液検体を収集しており、cfRNA収集も可能であることを確認している。それらの症例毎にcfRNAからの環状RNA同定を試みるまずはパイロットスタディとして、保有しているHPV関連頭頸部癌細胞株からのRNAにて、環状RNAを同定し、circE7がどの程度関与しており、子宮頸癌同様にE7癌タンパクを調節しているかを確認する。またHPVの頭頸部癌での癌化機構はまだ不明な点が多いため、RNA scopeを使い、HPV関連癌のHPV E6, E7をin situ hybridizationにて評価する。さらに環状RNAについてもBaseScope Assayで評価を検討する。その後にHPV関連中咽頭癌の臨床血液検体からのcfRNAを用いて、同様に環状RNAの同定、circE7に関しての評価を行う。それにより環状RNAおよびm6Aが実際の中咽頭癌検体でもcircE7を通してE7癌タンパクを制御しているのかを解明する。RNAの局在に関しても、細胞株実験同様にあきらかにしていく。頭頸部癌検体、特にHPV陽性検体で上述の解析手段を用いて総合的に評価していく。
2: おおむね順調に進展している
網羅的環状RNA解析による、環状RNAとRNAメチル化の機能解明、特にHPV陽性中咽頭癌でのリキッドバイオプシーを用いた、環状RNA同定によるバイオマーカーの同定を試みている。
頭頸部癌での環状RNAにm6Aがどのように関与しているのか、特に中咽頭癌ではHPV自体が環状RNA及びメチル化に関与しているのか、さらなる環状RNAの解析・解明が課題となっている。頭頸部癌に特異的な候補環状RNAを同定し、さらには診療ステージにあわせたバイオマーカーとしての、リキッドバイオプシーの活用も期待される。さらには中咽頭へのHPV感染部位、前がん病変などのまだ解明されていない生活環・動態の知見を蓄積したい。
Arraystar circRNA arrayにて環状RNAの特定する実験に費用がかかると考えているが、2023年度に実施することが出来なかった。2024年度中に実施する予定である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Scientific Reports
巻: 13(1) ページ: 5514
10.1038/s41598-023-32486-8