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2023 年度 実施状況報告書

マウスの内耳と耳小骨を形づくる新規間葉シグナルの探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K08994
研究機関自治医科大学

研究代表者

佐藤 滋  自治医科大学, 医学部, 准教授 (70306108)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード難聴 / 鰓耳腎症候群 / 耳小骨 / 感覚器形成 / 頭部中胚葉 / 神経堤 / Six1 / ホメオボックス遺伝子
研究実績の概要

SIX1は難聴と鰓耳腎症候群の原因遺伝子であり、領域特異性のある耳胞の形成、感覚神経と有毛細胞を適時適所につくり出すことができる聴覚器形成の鍵遺伝子である。しかし、間葉で発現するSix1の耳小骨形成における役割は不明である。また、最近作製した突然変異マウスの表現型から間葉で発現するSix1が内耳形成に関与することも示唆されるが、そのメカニズムもわかっていない。そこで本研究では、耳胞~内耳周辺の間葉細胞で発現するSix1がどのような細胞の性質や分泌シグナルを制御しているのかを明確にして、Six1が感覚上皮だけでなく間葉でもはたらくことで複雑な中耳骨や内耳構造を形成するのか、すなわち、聴覚器形成の鍵遺伝子Six1の作用メカニズムの全容解明を目指している。
Six1の発現は耳プラコード予定域、耳プラコード、耳胞腹側、感覚神経の各々に特異的なエンハンサーによって制御され、少なくとも5種のエンハンサーが順次はたらくことで継続する。Six1の耳胞特異的エンハンサーにはATAC1(耳プラコード予定域->耳プラコード->耳胞腹側で転写を活性化)とATAC2(耳胞腹側で転写を活性化)がある。この2つのエンハンサーを欠失する耳胞特異的Six1欠損マウス(理研BRC・天野孝紀先生)の解析を行った。当該マウスは内耳が小さく、旋回運動(circling)や首振り(head tossing)という前庭機能障害を示すことを発見した。現在詳細な組織化学的解析を進めている。また、マウスの解析に時間がかかることがわかったため、ニワトリ胚を用いた間葉シグナルの同定方法についても検討を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

遺伝子組換えマウスの交配と解析に計画よりも時間がかかることがわかった。そのため、ニワトリ胚を用いた頭部中胚葉や咽頭内胚葉に由来するシグナルの同定方法についても検討を開始した。

今後の研究の推進方策

マウスとニワトリ胚を用いた解析を並行して行う。ニワトリ胚の耳小骨は耳小柱という一つの骨からなっており、哺乳類とは違いが見られるが、胚操作の容易さ、耳小柱の発生に関する先行研究等もある。そのため、ニワトリを用いた詳細な解析を行いマウスでの結果と比較することで、耳小骨の形成に関わるシグナルの同定だけでなく、進化の過程で耳小骨が形を変えてきた仕組みの一端も明らかになるのではないかと期待している。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子組換えマウスを用いた解析の準備が遅れ、研究の進め方を検討・修正したり、ニワトリ胚を使った解析を中心に進めたため。

令和6年度は、マウス胚と個体、ニワトリ受精卵の購入、飼育管理費、マウスとニワトリ胚の表現型解析のための消耗品、受託解析費、謝金として使用し、研究を進める予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Secretory GFP reconstitution labeling of neighboring cells interrogates cell-cell interactions in metastatic niches2023

    • 著者名/発表者名
      Minegishi M, Kuchimaru T, Nishikawa K, Isagawa T, Iwano S, Iida K, Hara H, Miura S, Sato M, Watanabe S, Shiomi A, Mabuchi Y, Hamana H, Kishi H, Sato T, Sawaki D, Sato S, Hanazono Y, Suzuki A, Kohro T, Kadonosono T, Shimogori T, Miyawaki A, Takeda N, Shintaku H, Kizaka-Kondoh S, Nishimura S
    • 雑誌名

      Nat Commun

      巻: 14(1) ページ: 8031

    • DOI

      10.1038/s41467-023-43855-2.

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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