研究課題
本研究では、同一組成培地のまま細胞間相互作用による改変二次元接着培養(改変SEAM法)と三次元浮遊培養法を組み合わせたハイブリッド培養法と従来のStep by Stepで培地の組成や培養環境を変化させるSFEBq法とを比較して、三次元網膜の形態やパッチクランプ法による電気生理学的機能を指標とした網膜視部の再生を評価することを目的としている。今年度は、改変二次元接着培養において、細胞の相互間作用による分化によって層構造を形成しているため、細胞間結合が重要な役割を果たす。従って細胞間結合を破壊する酵素等を使用せずに培養ディッシュから細胞集団を剥離し、三次元培養へと移行させる必要がある。現時点において、温度応答性ポリマーではなく、ディスパーゼを使用することで、細胞間接着を維持したまま、培養ディッシュからコロニーを剥離させる手法を開発し、細胞間結合を維持した状態での継代に成功している。今後の電気生理学的機能評価のためには、コロニーの同一層における細胞集団をもう少し細かく分散できる条件を検討する必要があると考えている。一方、改変二次元接着培養にて接着培養をした際、iPS細胞から分化したコロニー中心部に形成される網膜神経様細胞集団(1st/2nd zoneの細胞集団)を用いて、この細胞集団の形成・維持・成熟に必要な培養条件を探索し、高率的な培養条件を確立した。電気生理学的な神経細胞としての機能を調査するため、パッチクランプ法で解析できる細胞培養条件の確立、さらにMED64システムを使用した細胞集団の検査法に適した細胞培養条件の検証を行った。さらに網膜神経様細胞に対して導入予定の発現制御可能な不死化遺伝子ベクターの改良構築を行い、今後、神経前駆細胞の状態で発現制御可能な不死化遺伝子を導入することで、三次元網膜モデルの構築を進めていく。
2: おおむね順調に進展している
2023年度に予定していた同一組成培地のまま細胞間相互作用による改変二次元接着培養(改変SEAM法)と三次元浮遊培養法を組み合わせたハイブリッドの培養法と従来のStep by Stepで培地の組成や培養環境を変化させるSFEBq法との比較、電気生理学的検索法の細胞培養条件の検証、および不死化遺伝子ベクター改良について、予定どおり進捗しているため。
改変二次元接着培養による網膜神経様細胞集団の分離を行うこと、電気生理学的な機能性評価、網膜神経様細胞集団の不死化遺伝子ベクター導入による細胞株の作製、および三次元網膜再生モデルの作製を検討し、薬物送達の評価系を樹立していく。さらにヒトへの移植応用をめざした新しい成人ヒト由来iPS細胞の開発と検証をさらに展開していく。
不死化ベクターの合成を外注したところ、年度内での納品が間に合わないことが分かったため、2024年度になってから改めて購入することとした。大学の研究施設の改組のため、大学内での引っ越しをすることとなり、2023年11月から2024年1月までの期間、実験を推進することができなかった。
第62回日本白内障学会総会・第49回水晶体研究会を開催(2023.7.21-23)https://jscr62.org/outline.html
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 1件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件)
Regen Ther.
巻: 27 ページ: 408-418
10.1016/j.reth.2024.04.010.
Bioengineering (Basel).
巻: 11 ページ: 302
10.3390/bioengineering11040302.
J Cataract Refract Surg.
巻: Epub ahead of print. ページ: .
10.1097/j.jcrs.0000000000001413.
Respiration.
巻: 103 ページ: 171-176
10.1159/000535992.
Exp Eye Res.
巻: 237 ページ: 109719
10.1016/j.exer.2023.109719.
Med Mol Morphol.
巻: 56 ページ: 274-287
10.1007/s00795-023-00365-w.
J Pharm Health Care Sci.
巻: 9 ページ: 44
10.1186/s40780-023-00312-y.
Drug Des Devel Ther.
巻: 17 ページ: 3349-3361
10.2147/DDDT.S433776.
PLoS One.
巻: 18 ページ: e0290657
10.1371/journal.pone.0290657.
Medicina (Kaunas).
巻: 59 ページ: 1282
10.3390/medicina59071282.
Mol Med Rep.
巻: 27 ページ: 103
10.3892/mmr.2023.12990.
Cells
巻: 12 ページ: 330
10.3390/cells12020330.
巻: 27 ページ: 19
10.3892/mmr.2022.12906.
日本白内障学会誌
巻: 35 ページ: 1
10.14938/cataract.35-001
巻: 35 ページ: 37-46
10.14938/cataract.35-007
巻: 35 ページ: 77-79
10.14938/cataract.35-019
https://www.fujita-hu.ac.jp/achievements/index.php?action=pages_view_main&active_action=cvclient_view_main_init&cvid=naoki_yamamoto&display_type=cv&block_id=620#_620
https://researchmap.jp/naoki_yamamoto
https://jscr62.org/outline.html