研究課題/領域番号 |
23K09019
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
野呂 隆彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (00349606)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | コモンマーモセット / 遺伝子改変 / 視神経挫滅モデル / 視神経再生 / 緑内障 / 高次視覚中枢 / MRI / ウイルスベクター |
研究実績の概要 |
緑内障はわが国で最大の失明原因であるが、障害された視機能を回復させることができないため、根本的な治療法の開発が期待されている。本研究では、小型霊長類のコモン・マーモセット(以下マーモセット)を用いて遺伝子改変個体を作製し、その表現形を詳細に解析することで緑内障の病態解明を進めることと、マーモセットの視神経挫滅モデルを作製し、遺伝子治療による視神経の保護と再生治療法を確立し、緑内障に対する将来的な新規治療法の開発を目指している。 本年度は主に、マーモセットの遺伝子改変個体の表現形の解析とアデノ随伴ウイルスベクターの作製を行った。ゲノム編集は Transcription Activator- Like Effector Nucleases(TALENs)を卵子に注入することで作製し、標的遺伝子を人工的に片アレルのみ改変した。出生後に行ったSurveyor Assayではゲノム編集が確認された。出生後の表現形の解析としては、運動性眼振検査による視機能解析、光干渉断層像(Optical Coherence Tomography:OCT)撮影による網膜と視神経の構造的解析、OCT-アンギオグラフィーによる網膜の非侵襲的血流撮影、多局所網膜電図による網膜機能の計測、頭部MRI(Magnetic Resonance Imaging)による視覚野を中心とした神経構造解析を行った。 出生後、遺伝子改変個体と正常対照となる個体において定期的に頭部MRIを撮影し解析したところ、遺伝子改変個体において第一次視覚野の構造的発達障害が認められた。また、拡散強調画像による白質の神経走行解析では、視覚路におけるFractional Anisotropy 値が遺伝子改変個体において有意に低下していることが明らかになった。 現在ウイルスベクターの作製が遅れており今後の課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変されたマーモセット個体における表現形の解析が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、定期的に撮影されたOCT、OCTA、多局所網膜電図の結果を解析する。また、成長期が終わり加齢性変化を示してくる個体に対して、最適な撮影間隔を検討し継続する。アデノ随伴ウイルスベクターの作製を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬などの消耗品の節約に努めたため。差額については、次年度で予定されている組織免疫染色の消耗品等の購入に活用する。
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