研究課題/領域番号 |
23K09039
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
古藤田 優実 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (00535619)
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研究分担者 |
柏木 賢治 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30194723)
古藤田 眞和 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (30530133)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | オートファジー / ミエロイド細胞 |
研究実績の概要 |
Atg5f/f LysMCreマウス(ミエロイド細胞のみでオートファジーが欠損しているマウス)およびAtg5f/fマウス(オートファジー機能が正常なコントロールマウス)を交雑して遺伝子型判定を行い、実験に使用するAtg5f/f LysMCreマウスおよび同胞コントロールマウス(Atg5f/fマウス)を用意した。まずAtg5f/f LysMCreマウスの眼球における表現型を調べるため、網膜厚および眼圧をコントロールマウスと比較した。網膜厚は光干渉断層計による平均網膜厚(網膜内層厚および網膜全層厚)と、摘出眼球のHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色標本による網膜中心動脈・視神経を含む断面の網膜全層面積の測定を行った。光干渉断層計による評価においては、若年マウスの網膜厚は、全層厚・網膜内層厚ともにコントロールマウスと有意差を認めなかったが、老齢マウスにおいてはAtg5f/f LysMCreマウスの方が網膜内層厚が厚い結果であった。HE染色標本での網膜全層面積は有意差がなかった。 麻酔鎮静下で測定した眼圧はAtg5f/f LysMCreマウスとコントロールマウスとで有意差は認めなかったことから、Atg5f/f LysMCreマウスにおいては眼圧以外の要素で視神経保護機構が働いている可能性が示唆された。視神経挫滅モデルマウスを作成し、Atg5f/f LysMCreマウスとcontrolマウスにおいて網膜神経節細胞複合体の減少率が異なるかどうかの検証を試みたが、安定した結果が得られなかったため、他のモデルや評価法でのアプローチを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験に使用するAtg5f/f LysMCreマウスおよびAtg5f/fマウスの作製および遺伝子型判定は順調に行えている。疾患モデルを用いた検証に先立ち、Atg5f/f LysMCreマウスの表現型を評価することとし、光干渉断層撮影法および組織染色により網膜膜厚(網膜内層厚および網膜全層厚)および眼圧を評価した。視神経挫滅モデルマウスを用いた実験では安定した結果が得られなかった。炎症性眼疾患におけるマクロファージのオートファジーの機能の検証のため、角膜疾患を含め他のモデルや評価法を用いたアプローチを検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
炎症性角膜障害モデル(リポポリサッカライド投与・アルカリ障害・角膜上皮剥離モデルなど)を検証モデルに加え、炎症や治癒過程におけるミエロイド細胞のオートファジーの機能を評価する。オートファジー機能の確認にはウエスタンブロット法やELISA法を用いてオートファジー関連タンパクの評価を中心に行う。各種組織染色(ヘマトキシリン・エオジン染色やフルオロセイン染色など)および免疫染色法(マクロファージや好中球を標的とした免疫染色)を用いた組織学的評価により炎症の程度や治癒過程の評価、および炎症性細胞の浸潤や集積の評価を行う。さらに角膜への機械的刺激への反応閾値や疼痛などの神経学的機能も継時評価する。オートファジー促進薬や阻害薬を用いてこれらの炎症や神経機能、組織治癒過程への作用を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
組織学的評価の一部を次年度に行うこととしたため、次年度使用額が生じた。 次年度に組織学的評価を行う際の必要物品購入費などに充てる予定である。
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