研究課題/領域番号 |
23K09049
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
住岡 孝吉 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40433362)
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研究分担者 |
松本 健一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30202328)
雑賀 司珠也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40254544)
岡田 由香 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50264891)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | テネイシンX / マトリセルラータンパク質 / 角膜実質細胞-筋線維芽細胞転換 / 角膜実質創傷治癒 |
研究実績の概要 |
テネイシンX(TNX)はTGFβ-Smadシグナルを介して上皮-間葉系移行に関与するマトリセルラータンパク質の一つであるが、角膜における角膜実質細胞-筋線維芽細胞転換に関する報告はない。今回、TNXノックアウト(KO)マウスを用いて角膜アルカリ外傷モデルを作成し、創傷治癒過程におけるTNXの役割を検討した。C57BL/6(WT)マウスとKOマウスを使用し、1規定のNaOH 3μLを点眼暴露し角膜アルカリ外傷モデルを作成した。規定期間後に角膜を撮影し、屠殺後に組織学的、免疫組織化学的に検討を行った。TNX、MPO(好中球マーカー)、F4/80(マクロファージマーカー)、リン酸化Smad2、αSMA(筋線維芽細胞マーカー)を免疫染色し比較検討をした。その結果、創傷なしのWTマウスではTNXは角膜の中央部ではほぼ検出されなかったが、アルカリ暴露後には角膜全体で強い発現がみられていた。7日後の角膜所見はKOマウスで混濁が抑制されている傾向にあった。HE染色ではKOマウスで炎症細胞の著明な抑制がみられた。免疫染色ではKOマウスのリン酸化Smad2の発現と筋線維芽細胞の発現が著明に抑制されていた。好中球の浸潤、マクロファージの浸潤に著明な差は見られなかった。以上の結果からTNXはTGFβ-Smadシグナルを介して角膜実質細胞-筋線維芽細胞転換に促進的に関与していた。これらの結果は穿孔性角膜外傷や遷延化した角膜感染症など治癒後に角膜実質混濁を起こす角膜疾患に対して普遍的な予防法を見つける手がかりとなる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の通り予定通りマウスが生まれ実行できている。
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今後の研究の推進方策 |
テネイシンXはTGFβ-Smadシグナルを修飾する創傷治癒における重要なマトリセルラー蛋白質であるが、同時に角膜実質の主成分であるコラーゲンの形成や維持にも関与する。それらを総合的にふまえ、アルカリ外傷モデルに続き、角膜穿孔外傷モデル、感染症モデルなどを用いて角膜実質創傷治癒における新たな発見を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定より経費を抑えることができたため。
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