研究課題/領域番号 |
23K09051
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
林 寿来 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30533715)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 細胞外小胞 / 間葉系幹細胞 / 脈絡膜血管新生 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
網膜色素上皮ARPE-19細胞に対し、過酸化水素の投与による酸化ストレス刺激に対するエクソソームの効果の解析をCytotoxicity LDH assay kitを用いて行なった。また、活性酸素ROS活性に対するエクソソームの効果をROS assay kitを用いて解析を行った。その結果、細胞毒性ROS活性ともに、酸化ストレスの効果がMSCエクソソームによって抑制されることが明らかになった。 さらに、0.4μm径のTranswell上に網膜色素上皮細胞を培養し、血液網膜関門のモデルを作成した。酸化ストレスにより上皮細胞バリアの破綻が起こるが、特定濃度のMSCエクソソームによってバリア破綻が抑制されることが認められた。 また、マウス硝子体へ光凝固レーザー照射を行い、脈絡膜血管新生モデルの作成を行った。MSCエクソソームをマウス硝子体へ投与を行い、眼球へ侵入する脈絡膜血管の定量を行った。対照に比べてMSCエクソソーム投与群は有意に血管新生の低下が認められた。また細胞死の抑制がエクソソーム投与により認められた。 眼球は紫外線やLED照明光などの曝露を直接受けるため、酸化ストレス・活性酸素にさらされやすい組織である。適度な酸化ストレスは細胞機能の維持に必要であるが、酸化ストレス負荷と防御機構の均衡が崩れると、加齢黄斑変性を含む各種疾患に結びつくと考えられている。MSCエクソソームは、酸化ストレスを抑制することから、眼球を障害から保護することで、網膜・脈絡膜障害に惹起される組織炎症、さらに誘導される脈絡膜血管新生が抑制されたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調である
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今後の研究の推進方策 |
CNVモデル作成とMSCエクソソームの硝子体投与を行った後、経時的にサンプリングを行い免疫染色法、Flow cytometryを用いて、MSCエクソソームのよるミクログリア、マクロファージの活性化や、集積に対する効果の解析を行う。また、白血球浸潤、炎症マーカー発現に対する効果を解明する予定である。また、精製したMSCエクソソームに内在して機能するMicroRNAの同定を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
すでに購入していた試薬類が使えたため購入する必要がなくなった。他部門の研究者から譲渡いただいた物品を用いて一部の研究を行うことができたことから、予定の支出の必要がなくなったため。
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