研究課題/領域番号 |
23K09111
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
落合 博子 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 室長 (60374162)
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研究分担者 |
柚木 俊二 北海道大学, 産学・地域協働推進機構, 特任教授 (20399398)
岡 愛子 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 研究員 (50795721)
利根川 朝人 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部バイオ技術グループ, 研究員 (70909944)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 瘢痕拘縮 / コラーゲン / 人工真皮 / 皮膚再生 / 内固定 |
研究実績の概要 |
“広範囲に欠損した真皮の再生”は形成外科における積年の課題である。真皮再生を優越させる機序は不明であり、真皮再生不良に起因する瘢痕拘縮・肥厚化、自家培養表皮の低定着性などの臨床課題はいまだ深刻である。そこで、私たちはコラーゲンフレーム(CF)をコラーゲン人工真皮(CM)に組み込んだ人工真皮(CF-CM)で真皮欠損創を“内固定”することで瘢痕拘縮が予防する試みを開始している。 これまでに、マウス背部皮膚欠損層への複数種類の人工真皮+皮膚移植を実施してきた。コラーゲンスポンジに緻密なフレーム構造を組み合わせた FCM使用により植皮は全生着し、植皮の母床形成に有用であることが示された。コラーゲン密度により支持性を調節したFCMは、肉芽形成を誘導することが可能であると同時に、瘢痕拘縮抑制効果も期待できることが示唆された。また、コラーゲンのみで人工真皮を作成したため炎症反応が弱く、コラーゲン濃度による分解速度のコントロールが可能であった。 以上のようなin vivoにおける瘢痕拘縮抑制効果を分子生物学的に検討するために、今回は、in vitroでのコラーゲンゲル収縮モデルを作成し、分子生物学的・免疫学的評価を行った。本研究で作製したコラーゲン複合モデルでは、従来型の収縮モデルに比べ、線維芽細胞形態と動向を適切に観察できることが確認された。本研究によって細胞動態の観察が可能となることで、in vivoで有効な人工真皮作成に貢献する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、in vitroにおけるゲルの収縮モデルを作成し、様々な条件でデザインを変えて検討を行っている。ほぼ当初の計画通りの進捗状況であり、今後の動物実験に向けての準備が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
作製条件を最適化させたコラーゲン複合モデルの収縮を評価し、in vivoにおける細胞の動態を観察・評価する。 また、動物実験でマウス背部皮膚欠損創に移植することで、実際の収縮率などのin vivoとの関連を検討することで、生体移植後の細胞動態を実証する試みを行う。そして、瘢痕拘縮抑制により、形成された真皮様構造が正常真皮構造に近づくか、そのメカニズムをゲル収縮モデルのシミュレーションから検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表で遠方に出張しなかったため、旅費を使用しなかった。また、研究センター人事の影響で、動物実験の開始が新年度に繰り越されたため、実験費用を初年度に使用しなかった。次年度使用額は、学会参加のための旅費と、動物実験で必要となる予定である。
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