まず、マウス由来M0マクロファージ細胞RAW264.7をM1マクロファージに分化させることで発現抑制するmiRNAを特定することを目的とした。着目するmiRNAの候補を決めるためのマイクロアレイデータは先行研究の結果を用いた。Ccr7遺伝子と結合部位を持つmiRNAは標的遺伝子予測サイトから抽出した。M1マクロファージにおけるCcr7と予測miRNAの発現量はリアルタイムPCR法で検討した。miRNAとCcr7の結合は予測結合部位を挿入したベクターをmiRNAとともに細胞へ共導入し、ルシフェラーゼアッセイによって確認した。miRNAによるM1マクロファージへの分化抑制効果は、RAW264.7をmiRNA導入後に分化誘導しM1マクロファージマーカーの発現で解析した。この解析にはリアルタイムPCRとウエスタンブロットを用いた。 M1マクロファージで有意に発現が抑制されるmiRNAの上位30個のうち、Ccr7の標的となり得るmiRNAとして、let-7c-5p、miR-15b-5p、miR-193a-3pを抽出し、miR-15b-5pに着目した。M1マクロファージに分化させたRAW264.7は、Ccr7とmiR-15b-5pの発現が、前者は有意に亢進し後者は低下した。また、miR-15b-5pはCcr7の915-920および934-939の3'UTRで結合し、RAW264.7へのmiR-15b-5p導入でCcr7発現は有意に抑制された。さらに、miR-15b-5pを導入したRAW264.7はM1マクロファージへの分化が抑制された。 miR-15b-5pはCcr7を標的とし、M1マクロファージへの分化を抑制する可能性を細胞レベルで証明した。
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