研究実績の概要 |
本研究では歯周病細菌の不活化に関与する候補化合物を用いて、抗菌効果を検討するものである。東洋大学食環境科学部の加藤博士の協力を得て、1000種類以上のフッ化物ライブラリーから、歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisのATP産生に関わる酵素の阻害化合物の探索を行い、候補化合物の同定を試みた。本実験では第一段階として、すべてのフッ化化合物から、NMRを用いて酵素と結合する化合物を114種類スクリーニングした。同定にはNMRのスペクトルの変化量を用いた。この結果は酵素と化合物の結合を示唆する。 次の段階として、同歯周病原細菌に対して抗菌効果を検討した。最終濃度を1.5 mMで同菌の発育阻害を検討した結果、効果を示した7つの化合物を同定した。その7つの化合物を同農で、代表的な口腔レンサ球菌であるStreptococcus gordoniiに対する成育抑制効果を検討したところ、4つの化合物で同菌に対する発育抑制効果を示さず、歯周病原細菌P. gingivalisに特異的に抗菌効果を示すことが示唆された。それらの化合物の最小発育阻止濃度を、6種類の口腔細菌(P. gingivalis, S. gordonii, Actinomyces naeslundii, Streptococcus mutans, Aggregatibacter actinomycetemcomitans, Fusobacterium nucleatum)と2種類の一般細菌(Staphylococcus aureus, Escherichia coli)で求めたした。 さらに、本年度は評価をヒトに拡げるための予備実験を行った唾液をもちいたSalivary Multi Testを使用した、ヒトにおける予備実験で、測定環境や測定法の検討、唾液の保存状態等の検討を行い、現在解析を行っている。
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