研究課題/領域番号 |
23K09164
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
枝並 直樹 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80804567)
|
研究分担者 |
野杁 由一郎 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50218286)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ケイ酸カルシウム系セメント / 異栄養性石灰化 / セメント質形成 |
研究実績の概要 |
セメント質は失活歯に添加されうる唯一の硬組織であり、様々な歯内療法後の組織修復に関与している。この新生セメント質形成は、失活歯の長期保存にとって非常に有益な現象であるものの、その形成メカニズムは大部分が不明である。本研究課題は、歯内療法後の新生セメント質形成に深く関与する生体応答を特定し、失活歯の構造を強化する新規治療法・薬材の開発基盤を構築することを目指したものである。本年度は、ラット臼歯に非外科的・外科的根管治療およびリバスクラリゼーションを行い、各手技後のセメント質形成開始部位および時期を調査した。その結果、新生セメント質形成は処置から7日以内には生じず、概ね14日程度に形成が開始されることが明らかになった。従って、新生セメント質形成過程の観察には処置から14日目にかけて数種類の観察期間を設けることが適切と考えられた。また、非脱灰組織標本の解析では、根管充填に用いたケイ酸カルシウム系セメントの周囲に異栄養性石灰化層が観察されなかった。ケイ酸カルシウム系セメントが歯髄に接触した際には、数時間で異栄養性石灰化層が形成され、その直下に象牙芽細胞様細胞が分化することが知られている。従って、今回の結果から、ケイ酸カルシウム系セメントに対する組織反応は歯髄と歯根膜で大きく異なっていることが示唆された。さらに、歯根膜組織と接したケイ酸カルシウム系セメントは、その内部にハイドロキシアパタイトを生成することが明らかになった。歯根膜組織中におけるケイ酸カルシウム系セメントの物理化学的挙動は、いまだ不明な点も多く、今後、本研究課題で解明を進めて行く予定である。同時に生体側の反応についても、各種観察期間の脱灰、非脱灰組織切片を作成し、解析を進めて行く予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り、各種歯内療法後のどの時期に新生セメント質形成が生じるかを特定できた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、各種観察期間における材料側、生体側の反応について解析を進めて行く予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも少ない試験動物の数で、目的を達成できたため次年度使用額が生じた。翌年度の試験動物数を増やすことで、繰り越された予算を使用する予定である。
|