研究課題/領域番号 |
23K09168
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
土屋 志津 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (60610053)
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研究分担者 |
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 炎症シグナル / 骨芽細胞 / 慢性炎症 / 根尖性歯周炎 |
研究実績の概要 |
複雑な根管形態や根尖孔外バイオフィルム形成などに阻まれて難治化した根尖性歯周炎は、適切な感染除去を行ったとしても治癒に至らないことが多く、次のアプローチとして外科的歯内治療が行われる。しかしながら、外科的歯内治療による直接的な感染除去を行っても、慢性炎症が持続することで骨造成に至らず難治化する根尖性歯周炎も存在するため、炎症を抑制し骨組織再生を誘導する予知性の高い根尖性歯周炎治療法の開発が望まれている。 炎症シグナル依存性の骨形成抑制に関与する分子を探索する中で、エンドサイトーシスを制御するSamd9lが、炎症と骨形成の相互作用に関わる遺伝子であることを新規に発見した。そこで、Samd9lの炎症に対する分子制御機構を詳細に解明し、骨芽細胞内に発現するSamd9lをターゲットとした新たな根尖性歯周炎治療法の開発に向けた基盤的研究を展開する。 今年度は、初代培養骨芽細胞によるSamd9lの炎症反応に対する機能分析として、WTとSamd9l KOマウス頭蓋冠から初代培養骨芽細胞(POB)を樹立して機能分析を行った。WTとSamd9 KO POBに対して骨誘導タンパクであるBMPと炎症性サイトカインであるTNFαで刺激した際の細胞増殖能への影響を検討した。その結果、WT POBと比較してSamd9l KO POBでは、TNFα刺激による細胞増殖能抑制への影響が見られなかった。このことから、Samd9lは細胞増殖能に関わる重要な因子である可能性が示唆された。 次にWTとSmad9 KOマウスに対して敗血症モデル実験を行った。その結果、 WTマウスと比較して、Samd9l KOでは盲腸結紮穿刺誘導性敗血症モデルによる生存率が高かった。このことから、Samd9lは、TNFαによる細胞増殖能の抑制やアポトーシス誘導や敗血症などの炎症性疾患の進展や増悪化に重要な因子である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は計画していた実験については順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Samd9lの炎症に対する分子制御機構を詳細に解明し、骨芽細胞内に発現するSamd9lをターゲットとした新たな根尖性歯周炎治療法の開発に向けた基盤的研究を展開する。Samd9lによる抗炎症効果の解析としてNF-kBの転写活性やp65の核移行の抑制効果への影響を見ていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほとんど計画通りの金額を使用したが、数万円の次年度使用額が生じた。理由としては、Samd9lによる抗炎症効果の解析に使用する試薬の納品が間に合わなかったことが挙げられる。現在は納品の目処がたったため、今年度使用できなかった予算分を使用する。
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