研究課題/領域番号 |
23K09171
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉井 英樹 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80802280)
|
研究分担者 |
前田 英史 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10284514)
友清 淳 九州大学, 大学病院, 講師 (20507777)
長谷川 大学 九州大学, 大学病院, 講師 (20757992)
濱野 さゆり 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40757978)
糸山 知宏 九州大学, 大学病院, 助教 (50884433)
兼子 大志 九州大学, 大学病院, 助教 (50962495)
藤野 翔香 九州大学, 歯学研究院, 特別研究員 (60883832)
小幡 純子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70759448)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | nano hydroxyapatite / シャーピー線維 / セメント質 / 歯根膜幹細胞 |
研究実績の概要 |
naHAp/SBの生体親和性に関しては、30%naHAp/SBが歯根膜幹細胞(PDLSC)の増殖能および接着能に及ぼす影響ついて検証を行った。その結果、10%または30%naHAp/SBはSBと同等の細胞増殖能および細胞増殖関連遺伝子 (CCND1、CCNE1およびCDKN3) の発現を有することが明らかとなった。 次に、naHAp/SBの生体活性(セメント質および歯根膜形成誘導能)に関する評価を行った。10%または30%naHAp/SBは、SBと比較してセメント質関連因子(CAP, CEMP1およびOCN)の遺伝子およびタンパク発現、および石灰化を促進した。以上の結果より、naHApが添加されることにより、SBの歯質接着性を維持した状態で、生体活性を上昇することが可能となることが示唆された。 ここまででえられた結果を基にして、30%naHAp/SBに着目し、当研究室で既に系が確立されている、ラット髄床底穿孔モデルを用いて穿孔部周囲の歯周組織の再生を観察したところ、30%naHAp/SBはSBと比較して、再生したセメント質様構造物の量が多く、シャーピー線維様の構造の再生も認められた。以上の結果より、30%naHAp/SBは新規の生体活性を有する歯質接着剤となりうる可能性が示唆された。本年度に得られた結果より、既にセメント質・歯根膜の再生能を有する可能性が示唆されているので、今後は、破折歯への応用が可能かどうかを精査するため、ラットの歯根破折モデルを用いて、破折部位周囲の歯周組織の再生に及ぼす影響を解析していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
元々予定していた実験のうち、naHAp/SBの生体親和性に関しては、30%naHAp/SBが歯根膜幹細胞(PDLSC)の増殖能および接着能に及ぼす影響ついて検証を行った。その結果、10%または30%naHAp/SBはSBと同等の細胞増殖能および細胞増殖関連遺伝子 (CCND1、CCNE1およびCDKN3) の発現を有することが明らかとなった。次に、naHAp/SBの生体活性(セメント質および歯根膜形成誘導能)に関する評価を行った。10%または30%naHAp/SBは、SBと比較してセメント質関連因子(CAP, CEMP1およびOCN)の遺伝子およびタンパク発現、および石灰化を促進した。以上の結果より、naHApが添加されることにより、SBの歯質接着性を維持した状態で、生体活性を上昇することが可能となることが示唆された。 ここまでの結果で予定していたin vitroの実験の半分は既に実施することができているので、順調に進んでいると思われる。 また、in vivo実験に関しては、30%naHAp/SBに着目し、当研究室で既に系が確立されている、ラット髄床底穿孔モデルを用いて穿孔部周囲の歯周組織の再生を観察したところ、30%naHAp/SBはSBと比較して、再生したセメント質様構造物の量が多く、シャーピー線維様の構造の再生も認められた。以上の結果より、30%naHAp/SBは新規の生体活性を有する歯質接着剤となりうる可能性が示唆された。既にセメント質・歯根膜の再生能を有する可能性が示唆されているので、今後は、ラットの歯根破折モデルを用いて、破折部位周囲の歯周組織の再生に及ぼす影響を解析していく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度までの結果は以下のようになる。naHAp/SBの生体親和性に関しては、30%naHAp/SBが歯根膜幹細胞(PDLSC)の増殖能および接着能に及ぼす影響ついて検証を行った。その結果、10%または30%naHAp/SBはSBと同等の細胞増殖能および細胞増殖関連遺伝子 (CCND1、CCNE1およびCDKN3) の発現を有することが明らかとなった。 次に、naHAp/SBの生体活性(セメント質および歯根膜形成誘導能)に関する評価を行った。10%または30%naHAp/SBは、SBと比較してセメント質関連因子(CAP, CEMP1およびOCN)の遺伝子およびタンパク発現、および石灰化を促進した。以上の結果より、naHApが添加されることにより、SBの歯質接着性を維持した状態で、生体活性を上昇することが可能となることが示唆された。 ここまででえられた結果を基にして、30%naHAp/SBに着目し、当研究室で既に系が確立されている、ラット髄床底穿孔モデルを用いて穿孔部周囲の歯周組織の再生を観察したところ、30%naHAp/SBはSBと比較して、再生したセメント質様構造物の量が多く、シャーピー線維様の構造の再生も認められた。以上の結果より、30%naHAp/SBは新規の生体活性を有する歯質接着剤となりうる可能性が示唆された。 今後は、破折歯への応用が可能であるかを評価するため、ラットの歯根破折モデルを用いて、破折部位周囲の歯周組織の再生に及ぼす影響を解析していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今後、in vivo実験を行い、その後に組織学的解析およびマイクロCT解析も行う予定としており、次年度における使用額が多くなることが予想される。また、現在の研究内容をまとめて、英語論文の作成も検討しており、論文投稿の予算確保も必要となるため、次年度使用額が生じた。 また、国際学会での発表も計画しているので、今後旅費も多くなることが予想されるため、繰越しを決定した。
|