研究課題/領域番号 |
23K09172
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
伊藤 修一 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50382495)
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研究分担者 |
倉重 圭史 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (30453278)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 根管充填用シーラー / 多機能性 |
研究実績の概要 |
これまで我々は、接着性モノマー4-METおよびMDPの末端にカルシウムを結合させた、接着性モノマーの開発を行い、それらの象牙質再石灰化誘導の評価や試作ボンディング材の開発を行ってきた。また、その後、より強固な象牙質接着の獲得を目指してMDP-Caの合成、開発を行い、シーリングコート材を試作し、象牙質封鎖性についての検討を行ってきた。これらの実験で獲得した技術を用いて、多機能性を有する根管充填用シーラーを開発することとした。開発した4-MET Ca(MET)、MDP Ca(MDP)を 5%、10%、20%配合した試作根管充填用シーラーを作製した。これらを用いて、in vitro象牙質石灰化モデル実験系を用いて根管充填用シーラーの石灰化能の評価を行った。それぞれの試作添加濃度における根管充填用シーラーの硬化体を作成した。これを水中に4日間浸漬させた水30mlを用いて石灰化溶液を作成した。この溶液を用いてin vitro象牙質石灰化モデル実験系を用いて根管充填用シーラーの石灰化能の評価を行った。その結果、原子吸光分析において、コントロールと比較して、有意に高くCa量の上昇が認められた。誘導された石灰化物を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、板状の結晶物が観察された。この結晶物をX線回折装置により分析を行ったところ、ハイドロキシアパタイト特有のピークが観察された。現在の歯内療法においては、無菌化された根管を維持し、コロナルリーケージを防ぐことができるかが、再根管治療を防ぐことにつながる。根管象牙質に対して根管充填用シーラー接着させるだけでなく、再石灰化を誘導することができれば、風さ性の向上につながる結果であり、抗菌性などさらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展していると考えている。石灰化実験のうち、ナノインデンテーションの実験が遅れており、次年度は、この部分に時間を割いて進めて参りたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、接着性モノマーのCa塩を有する試作根管充填用シーラーを作成した。またこれらを用いて石灰化誘導実験を行ったところ、象牙質石灰化に影響を及ぼすことが示唆された。ナノインデンテーション法を用いた根管象牙質に与える影響などについても評価をすすめる予定であり、抗菌性に有無についても評価を行っていく予定である。 これらを明らかにすることにより、多機能を有する根管充填用シーラーの開発につなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)接着性モノマーを含有する試作根管充填用シーラーの作成が思ったように進まなかったために計画の金額で差が生じた。 (使用計画) 本年度は、試作した根管充填用シーラーを用いて、抗菌性試験や細胞障害性の評価をを遂行する予定である。そのためには、プラスチック器具やガラス器具などの消耗品が必要となる。また得られた研究成果について国内・海外で発表するために旅費が必要である。また、これらを成果を投稿するために校正量や投稿料が必要である。
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