研究課題/領域番号 |
23K09178
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
林 潤一郎 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (30350937)
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研究分担者 |
後藤 亮真 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (10911787)
福田 光男 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (40156790)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 抗菌光線力学療法 / 口臭 / LED照射 / 舌苔 / インドシアニングリーン |
研究実績の概要 |
本研究では、本研究室でこれまでに研究、開発を進めてきた独自の抗菌光線力学療法(aPDT)のシステムを、口臭抑制を目的とした舌苔細菌の殺菌に応用するために、基礎的なデータの収集を行う計画である。これまで歯周病治療を目的としたaPDTではキトサンコーティングを施したインドシアニングリーン封入ナノ粒子と半導体レーザーを使用してきたが、本研究では舌苔の細菌では広範囲に光照射を行うため光源としてLEDを導入する。 研究初年度である2023年度では、まずLEDが半導体レーザーの代わりとして光源になりうるのかを検証した。 LEDの出力と殺菌効果の関係に見当をつけるため、光学機器メーカーからレンタル可能な波長850nm、出力1400mWのマウント付きLED(M850LP1, THORLABS社)を光源として用いた。コリメーションアダプター(SM1U25-B)とドライバー(DC2200, THORLABS社)を用いて照射野と出力を調整して殺菌効果を確認した。また、対象細菌には、歯垢の初期定着細菌である好気性のStreptococcus gordonii (S.g.)を用いた。BHI寒天プレートに液体培地で培養したS.g.を播種し、径12ミリのゴムリングをプレート上に置き、リング内に光感受性物質を静置し、以下の条件とした。1.照射直径:12ミリ、パワー:215mW、照射時間:10分、2,照射直径:プレートと同径、パワー:20mW、照射時間:60分。aPDT後、24時間で好気培養して、発育阻止円ができるかどうかで結果を判定した。 結果として、どちらの条件でも光感受性物質が存在していた範囲で阻止円が掲載された。2の条件では、光をリング外にも照射される様にしたが、光感受性物資がないリング外では、発育は阻止されなかった。この結果から、LED光によっても光感受性物質が励起され、殺菌効果を示すことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究の進捗はやや遅れている。進捗が遅れた理由としては、LEDの光源装置を導入する上で、独自製作のLED装置を用いる予定であったが、予定した出力を得るためには、仕様の再検討が必要となった。まずは、市販のLED装置を用いて、プレ実験にて条件設定を行い、十分な殺菌が可能なエネルギー密度を検討するところから、行うこととした。また、本研究に先立ち採択されていた研究課題がコロナ禍にて進捗が遅れており、その研究遂行にエフォートを割く必要があったことも、進捗に少なくない影響があった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に継続して、口腔細菌のバイオフィルムを十分に殺菌できるエネルギー密度を調べる。プレート上での発育阻止効果、浮遊細菌における殺菌効果、バイオフィルム状態の細菌における殺菌効果を検討する。対象とする細菌はS.gとPorphyromonas gingivalis (P.g.)とし、それぞれ単独で殺菌効果の確認を行うと同時に、2菌種混合のバイオフィルムでも殺菌効果を確認する。光源は810nmのLEDとする。単独のLED素子のLED装置を用いる。出力、エネルギー密度、照射時間を変化させながら、研究を遂行する菌効果を確認する。 その後、舌表面への光感受性物質の浸透度を確認する。粒径(平均粒径250, 500, 1000 nm)、 溶媒の種類(PBS, PEG, グリセロール)を組み合わせ、ICG-nano/c溶液を準備する。ラットを化学的方法にて安楽死後、舌背部に各ICG-nano/c溶液を塗布、水洗し、舌背部の写真をデジタルカメラにて撮影する。凍結切片法により連続組織切片を作製し、ICGナノ粒子の舌表皮への侵達度を光学顕微鏡で観察する。デジダル画像を撮影しは画像解析ソフトを用いて画像を二値化し、塗布面積の画像解析を行う。 2025年度は広い面積に光を照射できるLED装置を作成し、実験に用いる。寒天プレート上に、実際の人の舌と同様の面積のバイオフィルムを作成し、この前段階の実験で確認した際に浸透度の最も高かった剤形の光感受性物質を用いてaPDTを行い、殺菌効果を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験で使用するLEDの仕様の見直しが必要になり、予定していた研究が遂行できなかったため、使用額が少なくなった。LED機器については、当初、専用品を作製して実験に使用する予定であったが、仕様の見直しが必要になり、専用品作製費を執行できなかった。使用メーカーよりデモ機をレンタルしてプレ実験を行い、まずは市販の機器を購入して小面積での研究を進めて、殺菌に必要なLED出力を決定し、その後専用品を作成し広面積での実験を行うことした。
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