研究課題/領域番号 |
23K09179
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
前川 祥吾 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20793574)
|
研究分担者 |
片桐 さやか 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 准教授(キャリアアップ) (60510352)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 創傷治癒 / 歯周組織 / 骨粗鬆症 / オミクス解析 |
研究実績の概要 |
高齢化が進むにつれ全身疾患を有する患者は増加傾向にある。特に、骨粗鬆症のためにビスフォスフォネート製剤を服用する患者は年々世界的に増加している。ビスフォスフォネート製剤を服用している患者は観血処置を含む歯科医療を実践する際に顎骨壊死などの合併症に留意し治療を行う必要があり、骨粗鬆症のない患者と比べ歯科医療の実践が限定されてしまうことが少なくない。本研究の目的は、骨粗鬆症が歯周組織の軟組織および硬組織の創傷治癒にどのような影響を与えるのか、齧歯類を用いた抜歯窩の治癒に際し空間的オミクス解析を行い、本研究により骨粗鬆症患者に対する安全な歯科医療の確立や治療薬の開発につながる因子の模索をすることである。 空間的オミクス解析は近年確立された研究技法で、組織切片の限られた組織からRNAを抽出し切片の位置情報を有した空間的解析を行うことができる画期的な技術である。しかし、歯周組織のように歯や顎骨のような様々な硬度の硬組織と歯肉組織のような軟組織が混在する複雑な組織において実施が非常に難しく、歯周組織に応用する点で難航している。研究代表者の行なってきた先行研究によって、高齢化したラットにおいて抜歯窩の治癒は若年のラットと比べ治癒が遅れており、また卵巣摘出を行なったラットではより抜歯窩の治癒の遅れが認められた。適切なサンプル採取のタイミングやモデルマウスの確立に現在は注力しており、空間的オミクス解析を行うために顎骨を除いた抜歯窩の治癒途中にある肉芽組織での変化や細胞群に着目し、解析を行なっていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
確実なオミクス解析を創傷治癒途中の歯周組織で行うためのモデル作製に時間を要している。まずは従来の組織学的解析やmicroCTを用いた放射線学的解析による創傷治癒の時間経過、適切なタイミングでオミクス解析を行うためのタイムコースの確立に取り組んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
上顎臼歯部抜歯窩の治癒途中にある歯周組織の状態に対し、従来の組織学的解析やmicroCTを用いた放射線学的解析を行い、加齢による歯周組織の創傷治癒の変化、骨粗鬆症の影響による変化、時間経過をまとめ、空間的オミクス解析に必要な組織量、組織部位の選定を行う。また、同モデル確立後にオミクス解析を行い、特定の因子による影響や細胞群の探索を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
空間的オミクス解析は非常に費用のかかる研究のため、厳選された研究モデルおよびタイムコース確立のため時間をようしており、当初予定していた解析が未だ行えていない状況であり、その費用が次年度に持ち越しとなっている。
|