研究課題/領域番号 |
23K09182
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三木 康史 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (10598395)
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研究分担者 |
北村 正博 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (10243247)
柏木 陽一郎 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (20598396)
三浦 博己 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30219589)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | CGRP / 歯根膜神経 / 歯周組織再生 / 新規機能性足場材 |
研究実績の概要 |
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は37個のアミノ酸で構成される神経ペプチドで末梢神経終末から分泌される。CGRPには、血管の拡張作用があり、局所の炎症反応に関与していると考えられているが、近年感覚神経終末から分泌されるCGRPは、骨形成を促進することが報告されている。歯周組織における創傷治癒や再生において重要な役割を果たしている歯根膜は、豊富な感覚神経支配をうけ、CGRP陽性神経が多く発現していることが明らかとなっている。骨代謝に関連する報告の多いCGRPに着目し、同分子が歯周組織における硬組織代謝や組織の修復・再生にどのような役割を果たしているのかを学術的「問い」とし、申請者はこれまでに、CGRPが歯根膜細胞の硬組織形成細胞の分化を促進すること、歯周組織の破壊・治癒過程でCGRP陽性神経の発現が変動することを報告してきた。本年度は、組織学的な治癒過程が確立している抜歯窩の治癒過程に着目し、同治癒過程におけるCGRPの発現についての検討を行った。すなわち抜歯後1,3,7,14,21日後の抜歯窩の組織切片を作製し、抗CGRP抗体の免疫染色を行い、治癒過程におけるCGRPの発現動態の変化の検討を行った。その結果、抜歯窩治癒過程で抜歯窩にCGRP陽性神経が出現することが明らかとなった。抜歯後の治癒過程のCGRPの発現変化を検討することで、同分子が骨代謝に及ぼす影響がより明らかなとなることを期待し、今後とも研究を遂行していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CGRP陽性神経が抜歯窩の治癒過程で発現し、その発現が変動する傾向にあるところまでは、明らかとなった。組織学的に治癒過程が確立している系でCGRPの発現が確認できており、まだまだではあるが、一定の結果は得られたものと考えている。しかしながら、定量解析に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
抜歯後の治癒過程におけるCGRPの発現変動を検討する。また同時に三叉神経節におけるCGRPの発現を検討を行う。その後CGRP受容体シグナルの入らないRAMP-1遺伝子欠損マウスにおいても同様の実験を行い、CGRPの発現変動を検討し、組織学的にどのような治癒の差がでるか否かの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、抜歯窩の治癒過程におけるCGRPの発現解析を主に行った。進度が早ければ、CTを用いた骨レベルの修復や様々な抗体を用いた総合的な解析、あるいはノックアウトマウスを用いた解析も視野にいれ予算を組んだが、そこまでは、進展はしていない。予算を次年度に繰越し、実験を進めていく。
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