研究課題/領域番号 |
23K09196
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
PEZZOTTI G. 京都工芸繊維大学, その他部局等, 理事・副学長 (70262962)
|
研究分担者 |
槇村 浩一 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00266347)
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
足立 哲也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10613573)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | バイオフィルム / ラマン分光法 / 口腔カンジダ症 / う蝕 |
研究実績の概要 |
本研究では口腔微生物のバイオフィルムをラマン分光法で解析し、構成成分の分子構造を網羅的に分析することにより、バイオフィルム感染症に対する新規迅速診断法の開発を行う。 口腔微生物は、う蝕や歯周病、口内炎などの口腔バイオフィルム感染症から心内膜炎や肺炎のような重症感染症まで幅広い感染を引き起こすため、大きな問題となっている。バイオフィルムの構成成分は微生物により異なり、口腔バイオフィルムの構成成分を高精度で分析することができれば、起炎菌を同定し新たな診断技術に応用できると考えた。しかし、現在の遺伝子検査や培養検査では、操作時間の長さや煩雑さなどの問題があるため、簡便かつ高精度の迅速診断技術が求められている。そこで、分子レベルでの解析が可能なラマン分光法を用い、バイオフィルムを前処理なしでリアルタイムに解析することで、迅速な診断技術の基盤技術を開発する。 本法が実現されれば、バイオフィルムを把握することで、口腔ケアのフィードバックが可能となり、口腔内を清潔に保つことで、全身疾患のリスクを減らし、医療提供体制を維持することができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
う蝕原因菌Streptococcus mutansのバイオフィルムの分子構造を核磁気共鳴(NMR)およびラマン分光で解析を行った。バイオフィルムの糖鎖(グルカン)の分析では、NMRは数日要するのに対し、ラマン分光法では数分で分析ができることが明らかとなった。さらに、ラマン分光では結合様式の異なるα1,3グルカンとβ1,3グルカンを明確に識別が可能である。この研究の成果は、科学誌IJMSに報告した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は口腔カンジダ症の患者からバイオフィルムを採取し、ラマン分光法で迅速診断できるか検証する。京都府立医科大学附属病院および関連病院での医学倫理委員会の承認を得ており、被験者の選定を行っている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が当初予定していた消耗品の納品が遅延したため、来年度に繰り越し購入する事とした。
|