研究課題/領域番号 |
23K09212
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 顕太郎 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (80833805)
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研究分担者 |
向阪 幸彦 東北大学, 大学病院, 助教 (10760457)
根本 英二 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40292221)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | メカニカルストレス / エクソソーム / M2マクロファージ / 細胞外小胞 |
研究実績の概要 |
抗炎症型M2マクロファージは、炎症を収束させ組織を治癒に導く機能を持つ一方で、骨やセメント質等の硬組織誘導能力が注目されており、その誘導因子の一つにエクソソームが知られている。細胞が液性因子やスキャホールドなどの周囲環境に応答しmiRNA等の細胞内プロファイルを変化させ、分泌するエクソソーム内容物にも反映されることが知られているが、メカノシグナルに応答したM2マクロファージから分泌されるエクソソーム性質変化の全容は明らかになっていない。本研究は、メカニカルストレス応答性M2マクロファージエクソソームによる歯周組織再生療法の基盤構築を目的としている。 今年度は、まずマウスマクロファージ細胞株(RAW264.7)に付与するメカニカルストレスの最適条件の検討を行った。周期的伸展装置STB-140 (Strex Co.)を使用して培養細胞にメカニカルストレスを付与するが、細胞はtypeⅠコラーゲンにてコーティングされたシリコンチャンバー上で培養する必要がある。コラーゲン濃度別に培養したところ、300μg/mlのtypeⅠコラーゲンにてコーティングしたチャンバーでは、装置の最大伸展率である20%の伸展刺激を24時間付与しても細胞に対する為害性がみられなかった。さらにRAW264.7に20%の周期的進展刺激を24時間付与したところ、代表的なマクロファージM2マーカーであるArginase-1遺伝子発現の誘導を認めた。一方で、この条件における周期的進展刺激はIL-4によるRAW264.7のM2分化誘導に影響を及ぼさなかった。次年度は、上記知見をもとにメカニカルストレス応答M2マクロファージから分泌されたエクソソームの解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究計画に基づき、主にマウスマクロファージ細胞株(RAW264.7)に付与するメカニカルストレスの最適条件の検討と、メカニカルストレス周期的進展刺激によるM2マクロファージ分化誘導能の検討を行った。これにより、周期的進展刺激によるメカニカルストレスはマクロファージへのM2分化誘導能を有することが示唆された。一方で、メカニカルストレス応答M2マクロファージからエクソソームを抽出する条件検討は今後の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、メカニカルストレス応答M2マクロファージから分泌されるエクソソームにおける形態やエクソソームマーカー分子の解析、エクソソームによる骨芽細胞やセメント芽細胞に対する分化誘導能の解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 今後令和5年度請求額と合わせ、令和6年度の研究遂行に使用する予定である。
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