研究課題/領域番号 |
23K09213
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内野 夏子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30569637)
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研究分担者 |
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60443397)
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80372390)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | マクロファージ / インプラント周囲炎 |
研究実績の概要 |
まず、マクロファージ分化培養法の確立を行った。C57BL/6Jマウスから脾臓細胞を採取し、M-CSF存在下で1週間培養することでマウスマクロファージを得た。得られたマクロファージを異なる濃度および分子量のヒアルロン酸存在下で1週間培養し、その極性をReal time RT-PCRで確認したところ、濃度依存的にVEGFの上昇とTNFαの低下を認めたため、M2dマクロファージに近い細胞が得られていると考えられた。また、ヒト単球についても同様にM-CSF存在下で培養したが、増殖は見られなかった。そのため、十分な量のヒトマクロファージを得るためには、あらかじめ十分な量の単球を準備する必要があると考えられた。 上記のように調製したマクロファージを、蛍光標識した大腸菌パーティクルを加えて培養し、貪食された粒子の数を定量化し、貪食能を評価したところ、ヒアルロン酸存在下の培養により貪食能が亢進する傾向を認めた。また、血管内皮細胞の遊走能を検討したところ、ヒアルロン酸存在下で培養したマクロファージは血管内皮細胞の遊走能を亢進させることが分かった。 さらに、マウスインプラント周囲炎モデルの確立に向け、適切なインプラント(スクリューの長さ)、抜歯からインプラント植立までの適切な待期期間、炎症惹起方法について検討し、最適化した。組織像ではスクリューと骨の間にはほとんど組織の侵入はなかったが、歯牙結紮による炎症の惹起により、同部に肉芽様組織が形成されていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定された項目について実験を行い、一部次年度分の検討も開始しているため。
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今後の研究の推進方策 |
マクロファージが他の細胞に与える影響について以下の実験を行う。 細胞増殖実験:マクロファージ培養上清を加えた培地を用いて、間葉系幹細胞あるいは粘膜上皮細胞を培養し、細胞増殖をMTTアッセイにより解析する。 細胞分化実験:間葉系幹細胞を、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞への分化培地にマクロファージ培養上清を加えた培地を用いて培養し、分化能を細胞染色や分化マーカーに対する定量的PCRで評価する。 また、引き続きマウスインプラント周囲炎モデルの確立を行う。いずれかのモデルを使用する。1.デンタルインプラント周囲炎モデル:C57BL/6Jマウス上顎より臼歯を抜歯し、抜歯窩の骨治癒を確認後、チタンインプラントスクリューをアクチノミセテムコミタンスに一晩浸漬した後に挿入する。あるいは、スクリューを挿入後、絹糸などで結紮することで感染を惹起する。2.大腿骨スクリュー周囲炎モデル:C57BL/6Jマウス大腿骨あるいは尾椎にチタンスクリューをアクチノミセテムコミタンスに一晩浸漬した後に挿入する。あるいは挿入後に結紮して感染を惹起する。いずれの場合にも肉眼的観察、病理学的評価によりモデルの確立を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の支出がないなどの理由で、若干の繰り越しが発生した。 次年度のマクロファージ機能評価に使用する予定。
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