研究課題/領域番号 |
23K09232
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平田 伊佐雄 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40346507)
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研究分担者 |
森田 晃司 広島大学, 病院(歯), 助教 (30555149)
加藤 功一 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50283875)
下江 宰司 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (90379884)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 骨再生スカフォールド / 炭酸アパタイト / コンポジット / 三次元印刷 |
研究実績の概要 |
本研究は、骨再生に優れたCO3ApをPCLに導入することで、三次元印刷体の骨再生能が飛躍的に高まるのではないかと想定している。また、CO3Ap-PCL複合三次元印刷体の表面に特異的に吸着する性質を付与した遺伝子組みかえサイトカインを開発・導入することにより骨再生能が更に高まると想定している。 PCLは程よい機械的強度を有するが、骨伝導能・組織再生能が弱い傾向がある。骨再生において、CO3Apは骨アパタイトと同等の組成・結晶度を有する事から、PCL三次元印刷体に導入することにより骨再生能の向上が期待できる。また、bFGFやBMP等のサイトカインを三次元印刷体表面に付与することでも骨再生能の向上が期待できる。そこで、PCL表面結合ペプチド含有サイトカインを開発し、PCL三次元造形体に付与を試みる。 令和5年度は、Ⅰ: CO3Apの合成、Ⅱ: CO3Ap-PCL混合粉体の作成を主に行った。合成したアパタイトを、ICPを用いて化学組成の定量、XRDにて結晶性の評価、SEMにて結晶粉末の形態観察を行い、骨組成に近いCO3Apを数umのサイズで得ることができた。 PCL粉体は、PLCペレットを凍結粉砕機で粉砕し、電動ふるいを用いて約300um以下の粉体を取得した。CO3ApとPCL粉体を攪拌用ポットに投入し、ポットミル機を用いて十分に攪拌をおこないCO3Ap-PCL混合粉体を調整した。この混合粉体は、ヒートエクストルーダに投入し、加熱融解・圧縮空気にてノズルより押し出すことで三次元構造体を印刷できることが示された。また、混合粉体およびその印刷体をDSC及びXRD測定を行い、混合体の融点・ガラス転移点およびPCLの結晶度を測定し、今後の3次元印刷での条件の検討を行った。 今後はⅢ: 三次元印刷体の内部構造の構築、Ⅳ: CO3Ap-PCL三次元構造体の印刷と機械的強度の評価を中心に行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、Ⅰ・Ⅱの実験により「CO3Ap-PCL複合体の作製法」Ⅲ・Ⅳの実験により「三次元印刷体の機械的強度の制御法」Ⅴ・Ⅵの実験により「CO3Ap-PCL三次元構造体の骨再生スカフォールドの機能評価」を行うが、現時点においてⅠ・Ⅱが順調のため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、Ⅰ・Ⅱの実験により「CO3Ap-PCL複合体の作製法」Ⅲ・Ⅳの実験により「三次元印刷体の機械的強度の制御法」Ⅴ・Ⅵの実験により「CO3Ap-PCL三次元構造体の骨再生スカフォールドの機能評価」を行うが、引き続きⅢ・Ⅳの実験を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由として、令和5年度に購入を試みた3Dプリンタの消耗品パーツの納品が遅れたため。令和6年度前半には納品予定のため、未使用金を用いて支払を行う。 近年、研究に用いる物品が納期未定になる事態が頻発しているが、実験に必要な消耗品類を事前にストックしていくことにより、研究が遅延する外的要因をなるべく減らしていく。
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