研究課題/領域番号 |
23K09250
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
村上 和裕 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60804490)
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研究分担者 |
小野 高裕 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (30204241)
堀 一浩 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70379080)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高齢者歯科 / 口腔機能 / 咀嚼 / 訓練 |
研究実績の概要 |
本研究は、義歯を使用する高齢者にとって咀嚼中に歯や義歯に付着しにくく、硬さの調整が可能なグミ食品を使用することで、高齢者の個々人の咀嚼機能に合わせて訓練強度が調整可能な咀嚼機能訓練法を構築することを最終目標としている。本研究は①咀嚼機能訓練に使用するグミの硬さの検討、②グミの硬さが咀嚼嚥下時の咀嚼筋活動・舌運動に及ぼす影響の評価(横断研究)、③グミの硬さが咀嚼機能訓練後の口腔機能に及ぼす影響の評価(縦断研究)の3段階にフェーズが分かれており、令和5年度は咀嚼機能訓練に使用するグミの硬さを検討した。 予備実験として、様々な硬さの1個約3gの市販のグミ5種類を使用し、若年者7名(男性1名、女性9名)、65歳以上の高齢者10名(女性10名)を対象に咀嚼嚥下時の咀嚼筋活動と嚥下までの咀嚼回数を筋電計を用いて計測し、分析した。その結果、若年者と高齢者のいずれにおいても最大咬合力(デンタルプレスケールⅡ、GC、東京)が高い方が咀嚼筋活動と嚥下までの咀嚼回数が少ない傾向を示した。また、グミの硬さが硬い方が咀嚼筋活動と咀嚼回数が大きくなる傾向を示した。つまり、咀嚼には対象者の口腔機能と食品の物性のどちらもが影響することが明らかとなった。 上記の結果について、令和6年5月の国外学会および6月の国内学会にてポスター発表を行う予定である。また、本研究に関連した論文が英文科学雑誌に1編(Journal of Oral Rehabilitation)採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、令和5年度は実験環境の整備(実験設備の準備、倫理審査委員会への申請)、使用するグミの硬さの検討(若年者7名、高齢者10名)を行うことができたため、おおむね研究は順調に進展していると考えられる。ただし、訓練で使用することを想定としたグミの食品物性の決定はその後の研究の進捗に大きな影響を及ぼす可能性があるため、令和6年度も引き続き使用するグミの硬さの検討を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度も引き続き訓練で使用することを想定としたグミの硬さの検討を行う。令和5年度は一般に販売されている既成のグミを用いて検討していたが、令和6年度は予備実験の結果を参考に食品会社と連携し、硬さを5段階程度に設定したグミを開発する予定である。そして、開発したグミを使用して、高齢者を対象に咀嚼訓練に適したグミの硬さと対象者の口腔機能の関連性について検討する予定である。対象者は約50名を想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度に行った実験は途中段階であり、実験で使用する計測機器の消耗品を購入する金額が想定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。令和6年度にも本来令和5年度に行う予定であった実験を継続して行うため、それに次年度使用額を充てる予定である。
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