研究課題/領域番号 |
23K09271
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
長澤 麻沙子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40612239)
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研究分担者 |
魚島 勝美 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50213400)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | インプラント / 締結トルク / プレロード |
研究実績の概要 |
デンタルインプラントに加わる咬合力やアバットメントの結合様式に着目したインプラント周囲の骨組織変化や予後に関する研究は多数あるものの,アバットメントスクリューの締付けトルクによって生じるプレロード(フィクスチャー内に残存する応力)に着目し,インプラント周囲組織における生体反応を観察した研究はこれまでなかった.また,日常の臨床で用いるアバットメント締付けトルク値は各企業推奨の値を用いているが,その値に明確な根拠はない.我々は先行研究において,目に見えないプレロードが,オッセオインテグレーション成立後であってもインプラント周囲の骨組織に大きな影響を及ぼすことを見出した.一方,インプラント治療の主な後期トラブルであるアバットメントスクリューの緩み・破損を回避するためには材料学的に許容できる最大トルク値が求められる.そこで,本研究の目的は,生物学的に安全なインプラントアバットメント締付けトルクの最大値を科学的根拠によって提案することであり,機能回復を目的とする補綴学的な観点からは,非常に重要な課題である.初年度は掲げた目標の一つ目である「スクリューに問題が生じないアバットメント締め付けトルク最大値(in vitro)」を探索した。そのうち、条件の一つである 異なるインプラント/アバットメントジョイント形態(External hex,Internal hex,Conical)に関する比較では、スクリューは全ての条件下で形態的な変化をきたし,40Ncmでの締め付けはInternal hex およびConical jointにおいてスクリュー破損を起こす可能性が高く、ジョイント形態によってスクリューの交換時期が異なる可能性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,インプラントアバットメント締付けトルクによる,インプラント周囲組織の影響を詳細に検索し,生物学的・材料学的に安全なアバットメント締付けトルク値を科学的根拠をもって提案することである.初年度は材料学的検索( in vitro)としてスクリューに問題が生じないアバットメント締め付けトルク最大値を探索した。条件は異なるインプラント/アバットメントジョイント形態( 1)External hex joint 2) Internal hex joint 3) Conical joint)とし、評価項目として1. トルクメーターによる除去トルク測定 2. デジタルカメラによるねじ穴の変形評価 3. 走査電子画像 (SEI) によるねじ部の定性的評価 4. マイクロメーターによるねじ部の長さ測定を行った。以上により,アバットメントスクリューのどの要素がアバットメント締付けトルクとアバットメントスクリューの機械的強度に影響を及ぼしているか検索することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引続きin vitroにおける材料学的(in vitro)検索を行う。特に、異なるインプラント形態(1) Bone level 2) Tissue level)や、異なる材質のアバットメントスクリュー(1) チタン合金 2) ジルコニア )の検索を行う。さらに、今後は2つ目の目標である、プレロード+咬合力を模した動的負荷を加えることで、異なるトルク値を用いて,アバットメント締付けトルクがインプラント周囲組織に与える影響を生物学的(in vivo)に検索することを行っていく。
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